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【映画レビュー】「キング・オブ・キラーズ」(原題「King of Killers」/2023 アメリカ・カナダ) [映画]

【映画レビュー】「キング・オブ・キラーズ」(原題「King of Killers」/2023 アメリカ・カナダ)
 シカゴの暗黒街で殺し屋として妻や娘と暮らす、元CIAのマーカス・ギャラン(アラン・ムーシ)。しかし、引き受けた仕事で妻・カーラ(マリー・アヴゲロプロス)が巻き添えとなり命を落としてしまう。落ち込んだマーカスは、東京で開かれるという賞金1000万ドルの“コンテスト”に誘われる。同じ頃、一人娘の心臓に病気が見つかる。その手術費を稼ごうとマーカスは東京へ向かう。
 コンテストは最強の暗殺者ドラコス(フランク・グリロ)を殺すべく、世界中から集められたプロの殺し屋たち。マーカスら7人を競い合わせるものだが、逃げようとした者は主催者に殺される。
 しかし、それが実は主催者の狙いで、7人の殺し合いをさせるのが本当の目的だった…。
 アクションシーンには見どころがあるものの、シナリオ自体は非常に単純なものであり、テンポはいいものの、なぜ“コンテスト”の舞台が東京なのか必然性に欠け、その東京の描き方も実に前時代的で、非常に陳腐なものだ。芸者姿で登場する日本人女性も、キャストは韓国人だ。未だに日本をこんなイメージで見ている映画人がいることに、逆に驚かされる。
 原作はケビン・グレイボーによるアニメーションらしいが、本作は全編を通じ、B級感漂うものであり、日本では配給会社が見つからず、劇場公開されなかったのもうなずける。
 製作されたアメリカとカナダでも散々な評価をされているようで、レーティングも低い。サスペンス要素もあるのはあるのだが、あまりにも薄っぺらく、アクションシーンの派手さで92分押し切ってしまったような作品だ。
<評価>★☆☆☆☆
<監督・原作・脚本>ケビン・グレイボー
<製作>エンジェル・グラシア、シェーン・ウォーカー、アラン・ムーシ、トッド・スレイター、ジュリエット・ハゴピアン、マイケル・ハミルトン=ライト、クリストファー・ラッシュ・ハリントン
<製作総指揮>ケビン・グレイボー、マシュー・ヘルダーマン、ルーク・テイラー、タイラー・グールド、ロマン・コペレビッチ、ロマン・ビアリ、クリスティーナ・ローリン、シャーマン・バイリン、バートン・L・ワーナー、ブランドン・エバンス、マーシー・シナコ、アンドリュー・バン・デン・ハウテン、バリー・ブルッカー、スタン・ワートリーブ、ジョシュ・スペクター、スティーブン・ドーフ、グラント・スレイター レイコ・ブラッドリー
<撮影>ポール・スーダーマン
<音楽>ケビン・クローニン
<インターネットムービーデータベース>https://www.imdb.com/title/tt14057604/
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【映画レビュー】「僕らの世界が交わるまで」(原題「When You Finish Saving the World」/2022 アメリカ) [映画]

【映画レビュー】「僕らの世界が交わるまで」(原題「When You Finish Saving the World」/2022 アメリカ)
 DV被害者のためのシェルターを運営する母・エブリン(ジュリアン・ムーア)と、高校生である傍ら、ネットのライブ配信で自作の曲を披露するライバーとして、世界中にフォロワーがいる息子・ジギー(フィン・ウォルフハード)のカッツ家の母子が本作の主人公だ。
 社会への奉仕に心血を注ぐエブリンと、フォロワー数を増やすことしか考えていないジギー。2人は互いのことを分かり合えず、知ろうとさえしない。そんな2人がそれぞれの日々の中で壁にぶつかり、そこから2人の心境は少しずつ変化していく。
 ジェネレーションギャップや、理想と現実の食い違いといった身近な出来事の中で、失敗を経て、母と息子は心を通じ合わせていくストーリーだ。
 マーク・ザッカーバーグの半生を描いた『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)で主演を務め、数々の主演男優賞を受賞したジェシー・アイゼンバーグが初監督を務めたこの作品。製作は、『ラ・ラ・ランド』(2016年)で、オスカー女優となった賞を獲得したエマ・ストーンが、夫のデイヴ・マッカリーとともにと共に設立した制作会社「フルート・ツリー」が初めてプロデュースを手掛けた作品でもある。
 さらには、2012年設立で、多くのヒット作を世に送り出した製作会社「A24」が製作・配給を担当したことで、公開前から期待度の高い作品だった。
 海よりも深い愛情で、DV被害者たちに寄り添うエブリン。しかしその愛情は家庭には向かず、ジギーはもとより、夫であるロジャー(ジェイ・オルカット・サンダース)もほったらかし。出勤する際、ジギーも同乗してもらおうとし、「あと5秒待って」と言われるが、5秒後、ジギーを置いて出発してしまうほどのドライな関係だ。
 ジギーも、勉学や家族との時間など二の次で、自室にこもり配信に夢中の日々を過ごしていた。その行動はエスカレートし、配信中に部屋から家族を遠ざけるためのランプまで設置する始末。
 母子の溝は深まるばかりだったが、母子ともに問題を抱えることになる。
 エブリンが運営するシェルターに身を寄せており、ジギーの同級生でもあるカイル(ビリー・ブリック)が、DV加害者である父親の下で自動車整備工の仕事に就きたいという希望を口にする。カイルの望みと、DV被害者を加害者に近付けたくないエブリンは悩み、カイルに大学に進学するよう説得するが、その行動は事を複雑にし、エブリンは板挟みの状態となってしまう。
 片やジギーは、好意を寄せるライラ(アリーシャ・ボー)はじめ、政治や社会問題を語る同級生の話題についていけないでいた。ライラたちにフォロワー数を自慢するジギーだが、周囲の反応はイマイチ…。配信にうつつを抜かしている間に、同級生たちと話が合わなくなっていたのだ。
 何のことはない。エブリンとジギーは、その対象は全く異なれど、ある物事に対するアプローチは全く同じスタンスだったのだ。近視眼的な性格も同じで、いざ困難に陥っても、他人を頼ることもできなかった。まさに“この母にしてこの子あり”といった様相だ。以前にロジャーが指摘していた「2人は自己愛が強いところがそっくり」と評した通りだったのだ。
 そんな時、ジギーはエブリンのオフィスを訪れる。そこで目にしたのはエブリンが過去に受けた表彰や顕彰の数々。ジギーが生まれて初めて、母の偉大さを感じた瞬間だ。
 対してエブリンは、パソコンでジギーの名を検索し、YouTubeで曲を披露する動画を見ていた。そこで初めて、息子の創作活動の一端を垣間見る。
 エブリンのオフィスで顔を合わせる2人。しかし、反目し合っていた頃の感情は消え失せ、互いをリスペストする関係性に変わっていた。
 あまりにも真面目過ぎて空回りする母と、ネットと現実の狭間で苦しむ息子が分かり合うまでを描いた本作、88分という比較的短尺でありながら、過不足がなく、ハートフルなストーリーを描いたアイゼンバーグ。監督デビュー作とは思えないほど、共感性の高い作品を作り上げた。
 エブリン役を務めたムーアの安定感のある演技、そして、ジギー役を演じたウルフハードは、21歳の若さでありながらも、表情豊かな演技を見せ、かつ、ミュージシャンとして活躍する才能の片鱗も見せ、その存在感にはアイゼンバーグも舌を巻いたという。
 俳優だけではなく、劇作家や小説家、はたまた音楽家としての顔も持つアイゼンバーグ。作中で使われるジギーが歌う曲の製作も担い、監督としての心構えとして、多くの監督の下で仕事をした経験を生かし、良い監督については真似をし、相性の良くなかった監督については反面教師としたとも語っている。
 アイゼンバーグ自身も家族や仕事に関して問題を抱えた経験があり、自身を「社交性のない人間」と評する一面が、本作を製作するきっかけとなったのかもしれない。そうだとすれば、自分の感情を上手に表現できない主人公というキャラクター設定は、彼にとっては自然なことなのだろう。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://culture-pub.jp/bokuranosekai/#
<公式X>https://twitter.com/bokuseka_movie
<監督・脚本>ジェシー・アイゼンバーグ
<製作>デイブ・マッカリー、エマ・ストーン、アリ・ハーティング
<製作総指揮>ベッキー・グルプカンスキー
<撮影>ベンジャミン・ローブ
<美術>メレディス・リッピンコット
<衣装>ジョシュア・J・マーシュ
<編集>サラ・ショウ
<音楽>エミール・モッセリ
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【映画パンフレット】僕らの世界が交わるまで

【映画パンフレット】僕らの世界が交わるまで

  • 出版社/メーカー: 東宝
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【映画レビュー】「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」(2024 日本) [映画]

【映画レビュー】「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」(2024 日本)
 本作は、日本テレビとHulu共同制作ドラマとして2021年1月からシーズン1が放送開始され、以降、キャストを入れ替えながら、Huluでの配信という形でシーズン4まで製作された人気ドラマシリーズ『君と世界が終わる日に』。「きみセカ」という略称で親しまれ、シーズン1で、主人公・間宮響を演じた竹内涼真にとっては、デビュー作の『仮面ライダードライブ』(2024-2015)以来となるドラマ主演作だ。
 物語冒頭、交際中の小笠原来美(中条あやみ)にプロポーズしようとするが、なかなか言い出せない響。そこに、ドライブ中の柴崎大和(高橋文哉)と羽鳥葵(堀田真由)が通りがかる。どうやらクルマが故障してしまったようだ。自動車整備工の響は直してあげようとするが、大和は何故かケンカ腰で響に接する。
 それでもどうにかクルマを修理し、大和の態度に呆れながらも、2人を見送る。しかし、そのせいでプロポーズのタイミングを逸し、用意していた指輪をポケットにしまう響。
 このシーンから、高橋文哉と堀田真由の新キャストを迎えた上で、シーズン1の流れを汲んでいるストーリーといって良さそうだ。また、ドラマ版を見ていない層にも分かりやすい導入となっている。
 場面は一気に暗転し、響と来美が住む三浦半島全域を襲い、噛まれた者は「ゴーレム」と呼ばれるゾンビになり、それがネズミ算式に拡大していく謎の感染症・ゴーレムウイルスによって、破壊された世の中に転換する。
 ところが、「ユートピア」と呼ばれる2つのタワービルが存在し、1棟は政治家や富裕層などの上級国民が住み、もう1棟は、ゴーレムウイルスのワクチン開発をするための研究所が入居していた。
 ゴーレムウイルスに感染した来美を、自らの手で葬っていた響は、天城ジン(板垣李光人)、加地裕也(黒羽麻璃央)、松山寿人(橘優輝)、藤丸礼司(窪塚愛流)と協力し、地下街を通って、ユートピアに乗り込む、その中には、冒頭に登場した大和も加わっていた。彼は成長し、元鳶職人としての身の軽さを生かし、響と運命を共にする。大和はかつて、響にクルマを直してもらったことを覚えており、恩を感じていたのだ。
 響と亡き来美の間に生まれた一人娘のミライは、特殊な抗体を持つとされワクチンの研究材料にされていた。長官の西条玄(吉田鋼太郎)の指揮の下、首藤シンジ(須賀健太)をトップとするワクチン研究チームにミライは囚われの身となり、その身の回りの世話をしていたのが葵だった。
 響は、集まった男たちとミライを救い出すと決意するのだが、待っていたのは自己保身と裏切り、暴力こそが正義という現実だった。
 途中、ユートピアに向かう仮面の女性と、女性を道案内する謎の老人が登場する。いきなりの場面転換に戸惑うが、この人物こそが本作が“完結編”たらしめる重要人物と分かってくる。
 さらにユートピアの中を突き進むと、大和は、ゴーレムウイルスに感染し変わり果てた姿となった兄(菅田将暉)と再会する。しかし、兄はすでに生きる気力を失っており、自分を殺すよう懇願。響と大和は逡巡しながらも、彼の望みを聞き入れ、手を下す。
 ついにワクチン研究所の中枢に辿り着く響。しかし、その場で首藤から驚愕の真実を聞かされる。その事実は西条をも激怒させ、首藤は西条を射殺。返す刀で響も撃つ。
 しかし同時にユートピアは崩落の危機にあった。裏切り者の加地が爆弾を仕掛けていたのだ。
 複数の時限爆弾が同時に爆発し、崩れ落ちるユートピアのタワービル。西条は直前にヘリコプターで脱出に成功したかに見えたが、そのヘリにも爆弾が仕掛けられており、西条も墜落する。
 地獄絵図の中、響はミライに、どんな未来が待っていようと、希望を持って生きるよう告げるのだった。
 さらに場面が転換し、その後日譚的に、仮面の女性と謎の老人が登場。その正体を明かし、物語は終わるが、エンドロールの最後には、言葉の主が分からない形で「もう1つのビルで待っている」と、意味ありげなメッセージが残される。
 コロナ禍の中でドラマ版が放送され、「ウイルス」という言葉に過敏なご時世だったこともあり、ヒットした反面、批判も浴びた本作。コロナ禍が去った今、完結編をリリースするタイミングとしては絶好の機会だったのかもしれない。三十路を迎えた竹内涼真の演技も渋みを増していた。
 しかしながら、物足りないと感じた部分もある。せっかくの劇場版だ。しかもタイトルに「世界が終わる日」「FINAL」という文言がある割に、物語自体はユートピアのビル内でほぼ完結してしまっている。あまりにも世界観が狭すぎる印象だ。
 「世界が終わる」と言い切っている以上、もっと“終末感”が欲しいところだ。
 それでもゾンビアクション作品と謳っていながら、単にゾンビが暴れまくる単調なストーリーではなく、しっかりとした人間ドラマを描いており、造形にもこだわったであろうゾンビをあえて“脇役”とし、最も恐ろしいのは人間である半面、最後の最後に人を突き動かすのは「愛」であるという明確なテーマを持って製作されている点は評価に値する。
<評価>★★★☆☆
<公式サイト>https://kimiseka-final.jp/
<公式X>https://twitter.com/kimiseka_ntv/
<公式Instagram>https://www.instagram.com/kimiseka_ntv/
<公式TikTok>https://www.tiktok.com/@kimiseka_hulu
<監督>菅原伸太郎
<脚本>丑尾健太郎
<製作>桑原勇蔵、松本達夫、菅井敦、市川南、高谷和男、松本拓也、桑原佳子、加藤幸二郎、小林栄太朗
<エグゼクティブプロデューサー>飯沼伸之、田中宏史、三上絵里子、長澤一史
<プロデューサー>鈴木亜希乃、伊藤裕史、白石香織、櫛山慶
<撮影>高原晃太郎
<照明>稲村洋幸
<Bカメラ>宮澤一央
<DIT>熊倉智大
<録音>野崎秀人
<アクションコーディネート>柴原孝典
<美術>小池寛
<美術デザイン>山本聡、内田哲也、宇都宮太一
<キャラクターデザイン>前田勇弥
<ヘアメイク>三好啓子
<特殊メイク造形ディレクター>石野大雅
<編集>堀善介
<音楽>植田能平、會田茂一、ノグチリョウ、スワベック・コバレフスキ、A-bee
<VFXスーパーバイザー>堀尾知徳
<サウンドデザイン>泉清二
<記録>井手希美
<協力プロデューサー>小布施顕介
<スケジューラー>山下司
<監督補>山田信義
<制作担当>由利芳伸
<主題歌>菅田将暉「谺する」(SONY MUSIC) https://www.sonymusic.co.jp/artist/masakisuda/discography/ESXX02834B01A
<挿入歌>安田レイ「Ray of Light」(SONY MUSIC) https://www.sonymusic.co.jp/artist/yasudarei/discography/VVCL-2415
#君と世界が終わる日に #映画 #キミセカ #菅原伸太郎 #丑尾健太郎 #竹内涼真 #中条あやみ #高橋文哉 #堀田真由 #吉田鋼太郎 #板垣李光人 #窪塚愛流 #橘優輝 #吉柳咲良 #須賀健太 #味方良介 #黒羽麻璃央 #菅田将暉 #安田レイ #PG12 #日テレ #東宝

「君と世界が終わる日に」Blu-ray BOX

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  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2021/09/10
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【映画レビュー】「警官の血」(原題「경관의 피」/英題「The Policeman's Lineage」/2022 韓国) [映画]

【映画レビュー】「警官の血」(原題「경관의 피」/英題「The Policeman's Lineage」/2022 韓国)
 本作の原作は、2007年に刊行され、日本冒険小説協会大賞やこのミステリーがすごい!」で1位に輝いた佐々木譲の長編小説だ。日本でもドラマ化され、主人公が3代にわたり、未解決事件を追う警察一家を描いたものだ。
 しかし本作は、主人公のチェ・ミンジェ(チェ・ウシク)が警察一家に育ったこと、警察組織の闇を追う中で、父の正体を知ってしまうこと以外は大幅な脚色がなされ、舞台もソウルであることから、「原作」というより「原案」といった方が適切だろう。
 警官殺害事件が起き、その黒幕に、敏腕刑事パク・ガンユン(チョ・ジヌン)が浮上する。ガンユンは高い検挙率を誇る一方で、裏社会との繋がりを疑われていた。
 そんなガンユンの内偵調査に、違法捜査を良しとしない真っ直ぐな性格ながらも、まだ経験の浅いミンジェが指名される。
 上官はその理由として“警官の血”があるからと、ミンジェに説明する、刑事だったミンジェの父はかつて殉職したものの、その事実を隠蔽された過去の因縁があった。
 ガンユンとミンジェはコンビを組み、新種の麻薬捜査に乗り出すが、ミンジェは、裏社会と深く通じたガンユンの悪徳刑事ぶりを知ることになる。さらにガンユンは麻薬組織から金をせびって、捜査費としていた事実が判明する。違法捜査を繰り返すガンユンの隣で正義とは何かを追い求めるミンジェは、警察内部の秘密組織とその裏に隠された不正行為、さらに殉職した父の死の真相に迫っていく。
 ところが、ガンユンの不正行為を追及するために送り込まれたはずのミンジェは、徐々にガンユンに魅せられ、懐柔されてしまう。そこでミンジェは生前、父が「警官にだけはなるな」と語っていた意味を知ることになる。父も悪の道に染まってしまっていたからだ。
 刑事ドラマなのだが、アクションシーンやドンパチも少なめな印象。基本的に会話劇と登場人物の表情で物語が進行していく、かなり骨太な作品だ。
 ガンユンがミンジェに語る「黒にも白にも染まるな。それが刑事だ」というセリフが本作のメインテーマであり、説得力がある。
 『パラサイト 半地下の家族』では、気弱な浪人生を演じたチェ・ウシクだが、本作では重要な任務を任され困惑する若き刑事から、ガンユンの元でしたたかさを身に付けていく役柄を好演している。
 原作が日本の小説であっても、韓国ノワールとして十分に見応えのある作品に仕上がっている。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://klockworx-asia.com/policeman/
<監督>イ・ギュマン
<脚本>ペ・ヨンイク
<撮影>カン・グクヒョン
<音楽>チャン・ヨンギュ
<原作>佐々木譲「警官の血」(新潮社) https://www.shinchosha.co.jp/ebook/E054811/
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警官の血 デラックス版(Blu-ray+DVDセット) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2023/04/05
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【映画レビュー】「658km、陽子の旅」(2022 日本) [映画]

【映画レビュー】「658km、陽子の旅」(2022 日本)
 42歳の工藤陽子(菊地凛子)就職氷河期世代の独身女性。在宅ワークのフリーターとして食いつないでいたが、人生を諦め、家族とも20年以上絶縁状態になり、孤独に生きていた。
 そこにいとこの工藤茂(竹原ピストル)が訪れ、父が突然死したと告げ、そのまま東京から故郷の青森県弘前市へ茂の車で向かうが、高速道路のサービスエリアで置き去りにされてしまう。所持金もわずかなまま、陽子は仕方なく、ヒッチハイクで弘前を目指す。
 コミュニケーション能力に難のある陽子は、サービスエリアで必死に乗せてくれる人を探す。そして、デザイン会社をクビになり、再就職をめざす毒舌のシングルマザー立花久美子(黒沢あすか)、ヒッチハイクで旅をする人懐こいが訳アリの少女小野田リサ(見上愛)、かつて東日本大震災を取材し、もう一度、その地に向かおうとするが、陽子を見下し、ホテルに連れ込む卑怯者のライター・若宮修(浜野謙太)、震災の被災地ボランティアをきっかけに東北に移住し、便利屋として働いている八尾麻衣子(仁村紗和)、寡黙な男性の水野隆太(篠原篤)、老夫婦の木下登(吉澤健)と木下静江(風吹ジュン)など、様々な人との出会いを通じて、時には人間の醜悪さを味わいながらも、心が癒されていくロードムービーだ。
 その中には、純粋な親切心で乗せる者もいれば、肉体関係を迫る者もいる。それでも658kmの道のりの中で、途中、陽子は断絶状態にあった亡き父の工藤昭政(オダギリジョー)の幻影に苦しみながらも、徐々に人の温かみに触れ、旅の中で成長した姿で父の出棺に立ち会う。
 当時の東北であれば、やはり東日本大震災は避けては通れないテーマだが、そこもしっかりと描かれており、被災地の現実と、冬の東北の寒々しさも感じ取れる。
 人間嫌いを絵に描いたような陽子の性格は、先天的なものか、氷河期世代の厳しすぎる境遇によって生まれたものか、はたまた東北人特有のシャイな性格なのか。いずれにせよ、初めは乗せてくれた人に礼も言えなかった陽子が、人の優しさに触れ、ついには見ず知らずの運転手に自らの身上を語り出すまでに成長していく658kmの旅だ。
 とにかく主役の菊地凛子が素晴らしく、コミュ障から、半分レイプのような性被害に遭い泣き崩れる姿、暴力的だった父親の記憶がフラッシュバックして苦しむ回想シーンなどを演じ分け、自らの殻を破っていく女性を上手く表現している。お礼を告げる代わりに握手で恩を表現するシーンも見事だ。
 個人的には、東京人=悪人、東北人=善人という設定には、腑に落ちるところもあり、特に震災を経験し、それが原因で息子とも疎遠となり傷付きながらも陽子に寄り添う木下夫妻の姿には、心打たれた。
 ロードムービーという体裁を取りながら、人間の醜さや冷たさ、そして半面、世の中そう捨てたもんじゃないというテーマも含んだ秀作だと感じる。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://culture-pub.jp/yokotabi.movie/
<公式X>https://twitter.com/yokotabi_movie
<公式Instagram>https://www.instagram.com/yokotabi_movie/
<監督>熊切和嘉
<原案>室井孝介
<脚本>室井孝介、浪子想
<プロデューサー>小室直子、松田広子
<ラインプロデューサー>齊藤有希
<製作>中西一雄、押田興将、松本光司
<撮影>小林拓
<照明>赤塚洋介
<録音>吉田憲義
<美術・装飾・持道具>柳芽似
<衣装>宮本茉莉
<ヘアメイク>河本花葉
<編集>堀善介
<音楽>ジム・オルーク
<助監督>桑原昌英
<制作担当>芳野峻大
<メインビジュアル写真>長島有里枝
<エンディングテーマ>ジム・オルーク、石橋英子「Nothing As」(felicity)
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658km、陽子の旅 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2024/01/12
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【映画レビュー】「笑いのカイブツ」(2024 日本) [映画]

【映画レビュー】「笑いのカイブツ」(2024 日本)
 本作は、16歳からラジオの深夜放送やテレビ大喜利番組への投稿を続け、“伝説のハガキ職人”としてその名を轟かせたツチヤタカユキ氏の波乱と狂気に満ちた半生を描いた自叙伝を映像化した作品だ。
 これが長編映画初監督作品となる滝本憲吾は、吉本興業系の映像専門学校「なんばクリエイターファクトリー」において井筒和幸ゼミの第1期生となり、井筒門下生として鍛えられ、その後、フリーの助監督として、井筒の他にも、廣木隆一氏、中島哲也氏などの監督の下で腕を磨いてきた。
 主人公のツチヤを演じたのは、好青年から犯罪者まで、様々な役柄を演じ分ける岡山天音。ツチヤが高校にもろくに登校せず、ただひたすらネタを書き続けて過ごしていたのに対し、中学時代にテレビドラマに出演したことがきっかけで芝居の魅力に憑りつかれ、中卒で芸能界に飛び込んだ岡山。彼は、演じながらも共通点の多いツチヤそのものが憑依していったのではないか。それほどまでの怪演を見せている。
 今ではリスナーからの投稿も、専用フォームやメール、X(旧Twitter)によるものがほとんどだが、「ハガキ職人」という言葉は健在で、そこから放送作家や構成作家、バラエティー番組の演出に携わる人材を多く輩出し続けている。
 古くはナンシー関(故人)や古田新太、「アメトーーク」や「ロンドンハーツ」などを手掛けるテレ朝の敏腕プロデューサー・加地倫三氏もその1人だ。
 20歳となったツチヤは、大喜利番組で“レジェンド”に昇格したことが自信になり、自作のネタを書いた大量のノートを携えて劇場に押し掛ける。なんとか作家見習いの座を勝ち取り、そのキャリアをスタートさせる。
 しかしツチヤには、致命的ともいえる短所を抱えていた。他人との交流が絶望的なまでに苦手なのだ。
 そんなツチヤは当然、芸人の間では疎まれ、唯一、味方だった芸人に提供したネタにも盗作疑惑がかけられ、追い出されるように劇場を去る。
 職を失ったツチヤは、ホストやコンビニのバイトに転じようとするが、何一つ上手くいかない。やはりツチヤはお笑いしか能のない男なのだ。
 自暴自棄になるツチヤ。そんな彼を支えたのは、ツチヤがネタを書くために通いつめていたバーガーショップ店員のミカコ(松本穂香)と、ムショ帰りのチンピラ・ピンク(菅田将暉)だった。笑いを諦め切れずにいたツチヤは、2人の後押しの声を原動力に、再びハガキ職人として再起する。
 そんな中、売れっ子漫才コンビ「ベーコンズ」の西寺(仲野太賀)から声が掛かり上京、構成作家としてラジオ番組を担当する。
 しかしツチヤにとって、東京は地元の大阪よりも厳しい世界だった。
 西寺によって過保護なまでに守ってもらいながらも、ツチヤの人間嫌いな性格は一向に直らず、スタッフに盾突いた挙げ句、LINEに「人間関係不得意」という言葉を残し、逃げ帰るように大阪に戻ってしまう。
 ネタを書くことでしか自分を表現できないツチヤの肉体は、既に悲鳴を上げており、血尿や血便が出るまでに悪化していた。
 それでも西寺はツチヤを見捨ててはいなかった。東京での単独ライブに招待し、エンドロールの「構成」の欄にツチヤの名を記していたのだ。
 しかし大阪に戻ったツチヤは、ピンクとミカコに励まされるが、誰も自分を理解してくれない現実に絶望し、店内で暴れてしまう。
 その帰り、橋の上から道頓堀に飛び込むツチヤ。それは“構成作家・ツチヤタカユキ”の死を意味していた。ズブ濡れになって帰宅し、おかん(片岡礼子)に、「俺は死んだ。お笑い、もう辞めるでぇ」と呟くツチヤ。
 しかし、その舌の根も乾かぬうちに、かつて5秒に1本のネタを書いていた床に座り、ネタが出ないと頭を叩きつけ、ヘコんでいた壁を足で突き破ってしまう。そこでツチヤは初めて笑顔を見せ、再びネタ作りに没頭するところで物語は終わる。
 ジョーク交じりに自身を憑依型俳優と称した岡山。それは、実際のツチヤタカユキ氏がどういう人物なのかも分からないにも関わらず、スクリーンに映された人物は間違いなくツチヤそのものだと感じてしまうほどだ。
 しかしながら、滝本の“新人監督”としての詰めの甘さも感じる。ツチヤのお笑いにかける情熱や、そのために半狂乱にもなる演出ばかりが強調され過ぎており、ツチヤがどれだけ作家として有能であったかの描写が少なく、ややもすれば、単なる独りよがりな人物に思えてしまう。
 岡山のみならず、仲野や菅田、松本といった“キャスト頼み”の側面も伺え、彼らの演技力あっての作品だった印象を受ける。
 作中、ツチヤは東京・大阪間を2往復するのだが、そのシーンが東京なのか大阪なのか、道路標識と車のナンバーだけで表現する手法は、少々強引さも感じる。
 反面、仲野演じる西寺と水木(板橋駿谷)の「ベーコンズ」の漫才シーンは息ピッタリで、本作の見せ場となった。ちなみに、西寺のモデルは「オードリー」の若林正恭だそうだ。
 その答えはエンドロールにあった。「漫才指導」の欄に記されていたのは、M-1新王者の「令和ロマン」だった。当然、撮影はM-1前に行われていたにしても、そのネタの切れ味もさることながら、お笑い評論にも造詣が深いこのコンビが関わったことで、さらに作品に厚みが出たといえるだろう。
 現在、ツチヤ氏は大阪を拠点に、創作落語や吉本新喜劇の作家として活動しているという。まだ35歳の若さであることから、まだまだ活躍の場は広がっていきそうだ。
 さらに本作は、全国のハガキ職人に“夢”を与えたという面でも大きな意義があった作品でもあるのだ。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://sundae-films.com/warai-kaibutsu/#
<公式X>https://twitter.com/warai_kaibutsu
<公式Instagram>https://www.instagram.com/warai_kaibutsu/
<監督>滝本憲吾
<脚本>滝本憲吾、足立紳、山口智之、成宏基
<エグゼクティブプロデューサー>成宏基
<プロデューサー>前原美野里
<撮影>鎌苅洋一
<照明>神野宏賢、秋山恵二郎
<録音>齋藤泰陽、藤本賢一
<美術>安藤秀敏、菊地実幸
<装飾>岩井健志
<衣装>馬場恭子
<ヘアメイク>楮山理恵
<編集>村上雅樹
<音楽>村山☆潤
<助監督>齊藤勇起
<制作担当>後藤一郎
<宣伝写真>三宅英文
<漫才指導>令和ロマン
<原作>ツチヤタカユキ「笑いのカイブツ」(文藝春秋) https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163905631
#笑いのカイブツ #映画 #ツチヤタカユキ #滝本憲吾 #ツチヤタカユキ #岡山天音 #菅田将暉 #仲野太賀 #松本穂香 #片岡礼子 #前原滉 #板橋駿谷 #淡梨 #前田旺志郎 #管勇毅 #松角洋平 #お笑い #ハガキ職人 #令和ロマン #ショウゲート







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【映画レビュー】「ヘルドッグス」(2022 日本) [映画]

【映画レビュー】「ヘルドッグス」(2022 日本)
 深町秋生の小説「ヘルドッグス 地獄の犬たち」を、原田眞人の脚本と監督で映画化した本作。
 恋仲となったスーパーで働く女子高校生が、その店に中国人マフィアが乱入し、銃殺される事件を止められなかった後悔から、裏社会に闇落ちした元警官・出月梧郎(岡田准一)が兼高昭吾と名を変え、復讐のみに生きていた。
 数年をかけ、兼高は殺害犯の「マッドドック」など一連の犯人たちを見つけ出し、殺害する。やがて、警視庁に身柄を拘束された出月は、その獰猛さや強さを買われ、阿内将(酒向芳)の取り計らいで、罪の清算をする代わりに、関東最大のヤクザ「東鞘会」への潜入を命じられる。
 兼高の任務は、組織のトップ・十朱義孝(MIYAVI)が持つ秘密ファイルを奪うこと。警察はデータ分析により、兼高との相性が98%という東鞘会のサイコパスなヤクザ・室岡秀喜(坂口健太郎)がバディを組ませる。裏仕事専門部隊「ヘルドッグス」に入隊した兼高と室岡の2人は、猛スピードで組織を上り詰めていく。
 ある日、兼高と室岡は、十朱の命を狙う会との密会で紛れ込んでいた殺し屋のルカ(中島亜梨沙)を見つけ、捕獲。処理場に運ぶ際には、十朱が同行すると言い出す。
 十朱と兼高、室岡を含めた少数のボディガードと、処理場の管理人・俵谷一房(田中美央)、会長秘書の熊沢伸雄(吉原光夫)で、ルカを拷問にかけたが、彼女に発信機が埋め込まれていた事に気づく。
 実は俵谷が裏切り、大量の殺し屋を処理場に送り込んでいた。兼高と室岡は十朱を守ることできはたが、熊沢は殺されてしまう。熊沢の死を聞いた東鞘会の傘下である神津組の組長・土岐勉(北村一輝)は怒り、殺し屋を送り込んだとされる神戸華岡組に自ら乗り込み、俵谷を含めた幹部たちを殺害する。
 亡くなった熊沢の代わりとなる会長秘書に、土岐は兼高を推薦し、兼高は異例の昇進を遂げる。しかし、気に入らないのは神津組ナンバー2の三神國也(金田哲)。三神は、出月が兼高なのではないかと疑い始め、兼高に反抗的な態度を取るようになる。
 それが気に入らない室岡は、勢い余って三神を殺す。そのことによって組から追われた室岡は、兼高に「警察なんかじゃないですよね?」と尋ねる。兼高は「ああ」とだけ答え、室岡を逃す。
 兼高は、十朱が自分と同じ境遇で、潜入捜査官でありながら警察を裏切ったことを知る。そして兼高の最後の仕事として十朱殺害の命が下る。土岐の愛人である吉佐恵美裏(松岡茉優)も実は潜入捜査官で、土岐の命を狙う。東鞘会の幹部・大前田忠治(大場泰正)の専属マッサージでありながら、警察の協力者である衣笠(大竹しのぶ)が、自身の子どもを殺した恨みから大前田を狙っている事が分かり、同時に作戦を決行することになる。
 一方、逃亡中の室岡は、被害者家族と会ったことで兼高が出月だと確信する。
 作戦は決行され、衣笠は大前田を殺害、恵美裏も土岐を殺害することに成功する。しかし、土岐に会いに来た室岡に恵美裏は誘拐されてしまう。その頃、兼高は十朱の部屋に侵入、十朱と対峙した兼高は、兼高を侵入捜査官だと見抜いた上で協力を求めてきた十朱の誘いを断り、銃撃戦に発展する。
 戦いの末、兼高は十朱を殺害する。その後、恵美裏を誘拐した室岡に兼高が呼び出され、組に戻ろうと告げる。
 もはや解体した組に戻る場所はないと兼高は答えるが、室岡は恵美裏に銃を向け、「俺か恵美裏かを選べ」と兼高に迫る。兼高は室岡を射殺すると「マッドドックの殺害で始まり、ヘルドッグの殺害で終わる」と、頭に銃を当てながら呟くと、恵美裏は兼高を泣きながら抱き寄せるのだった。
 ハードボイルド小説の映像化は難しい面はあるが、本作もその壁を超えられなかった印象で、数多くの登場人物により、話の展開が複雑で、途中でついていけなくなる。
 原田眞人監督によるリアルの追求によって、アクションシーンには見応えはあるものの、肝心のセリフ回しが聞き取り辛く、物語に入っていけない。この点は脚本どうこうではなく、映画作品として致命的だ。
 岡田准一、坂口健太郎をはじめとするキャストは豪華なのだが、いささか“無駄遣い”感が否めない。
 ラストシーンもハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、意味が分からず、余韻も感じられない作品だ。それなりに金もかかっているだろうが、もったいなさを感じずにはいられない。
<評価>★☆☆☆☆
<公式サイト>https://www.helldogs.jp/
<公式X>https://twitter.com/helldogs_movie
<公式Instagram>https://www.instagram.com/helldogs_movie/
<公式Facebook>https://www.facebook.com/helldogs.movie/
<監督・脚本>原田眞人
<製作>ウィリアム・アイアトン、村松秀信、勝股英夫、藤島ジュリーK.
<エグゼクティブプロデューサー>上木則安、柳迫成彦、西山剛史
<プロデューサー>瀬戸麻理子、永田博康、天野和人、小出大樹、野村敏哉
<撮影>柴主高秀
<照明>宮西孝明
<録音>松本昇和
<Bカメラ撮影>堂前徹之
<美術>福澤勝広
<装飾>岩井健志
<衣装>宮本まさ江
<メイク>酒井啓介
<VFXスーパーバイザー>オダイッセイ
<整音>矢野正人
<音響効果>柴崎憲治
<編集>原田遊人
<音楽>土屋玲子
<スタントコーディネーター>小池達朗
<技闘デザイン>岡田准一
<助監督>土肥拓郎
<スクリプター>川野恵美
<キャスティングプロデューサー>福岡康裕
<製作担当>小川勝美
<原作>深町秋生「ヘルドッグス 地獄の角川文庫(KADOKAWA) https://www.kadokawa.co.jp/product/322001000194/
#ヘルドッグス #映画 #原田眞人 #深町秋生 #岡田准一 #坂口健太郎 #松岡茉優 #MIYAVI #北村一輝 #大竹しのぶ #金田哲 #木竜麻生 #中島亜梨沙 #杏子 #大場泰正 #吉原光夫 #尾上右近 #田中美央 #村上淳 #酒向芳 #赤間麻里子 #吉田壮辰 #小柳アヤカ #ソニー #KADOKAWA







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【映画レビュー】「エージェント:ゼロ 漆黒の暗殺者」(原題「The Virtuoso」/2021 アメリカ) [映画]

【映画レビュー】「エージェント:ゼロ 漆黒の暗殺者」(原題「The Virtuoso」/2021 アメリカ)
 依頼を受け、狙った者を必ず仕留める凄腕の暗殺者“ゼロ”ことヴィルトゥオーソ(アンソン・マウント)。ある日、ボスであるメンター(アンソニー・ホプキンス)から極秘任務として困難なミッションを与えられる。
 任務遂行にあたって、時間も情報もない仲、ゼロは自身の計画通り、ターゲットを殺すが、関係のない家族を巻き添えにしたことで、引退を決意する。
 ひっそりと生きていたゼロに、メンターから新たな指令が下る。それは正体不明の標的“ホワイト・リバーズ”を探し出し、暗殺するもの。これが最後の任務と思ったゼロは、指定された片田舎にある食堂を訪れ、ウエイトレスのデキシー(アビー・コーニッシュ)から、ターゲットの人物について探ろうとするが、一方で、デキシーの魅力に憑りつかれていく。
 食堂からでてきた一人客の後をつけモーテルに到着。“ホワイト・リバーズ”の正体を突き止めようとその男の部屋に侵入、酒に薬を盛って殺害する。しかし、身分証などからその男がターゲットではないことが分かる。
 ゼロは食堂に戻り、閉店後の店内でデキシーと食事をする。その後、モーテルに戻るとデキシーが部屋にやってくる。ゼロはデキシーがターゲットではないかと疑い始め、問い詰めるがデキシーはうろたえるばかり。
 ゼロはデキシーを休ませ、さらに別のターゲット候補がいる家に忍び込み、男を殺す。そこにマイヤーズ副保安官(デヴィッド・モース)がやってくる。ゼロはマイヤーズのパトカーの中で男性の遺体を発見するが、その遺体こそが本物のマイヤーズであり、今生きている方の男は本物を殺した偽物だった。
 ゼロは偽物のマイヤーズに“ホワイト・リバーズ”を知っているかと聞くと、知っていると答える。そこでゼロは、その偽物のマイヤーズを銃殺。ゼロは任務を完了しデキシーが待つモーテルへと帰る。ゼロはデキシーと肉体関係を持つが、デキシーが殺し屋であることが判明する。デキシーは自分の正体がバレたことに気づき、ゼロに銃を向ける。
 ゼロが始末すべきターゲットは実在しなかった。その真相は、ゼロこそが殺しのターゲットであり、デキシーや、食堂にいた2人の男、偽のマイヤーズもゼロの殺しを依頼された殺し屋だったのだ。それを依頼したのはボスであるはずのメンター。彼は以前のミッションで巻き添えを出したことを理由に引退を決意したゼロを始末しようとしたのだ。
 ゼロは自分に銃口を向けるデキシーに対し、残される愛犬の世話を頼む。デキシーはゼロを撃ち殺し、彼の山小屋を訪れ犬の世話をするのだった。
 プロの殺し屋が限られた情報からターゲットを特定し暗殺に挑むストーリーで、サスペンス要素の濃い作品だ。暗殺方法、依頼の受け方、プロとしての心構えなどをゼロが、自身のナレーションで説明するため、ストーリーの全体像が分かりやすい作りとなっており、かつ、地味だが渋味の強い作品だ。ゼロが何を考えているのかも説明するので、まるでそこにいるかのような没入感も味わえる。
 「殺し屋が一般人を巻き添えにしたことへの罪の意識」が物語の端緒なのだが、その後も主人公のゼロはターゲット以外の人間も次々と殺害しており、さらに途中で「巻き添えなんてよくあること」と開き直っている点で、最終的には何を伝えたかったのかが曖昧なまま、物語は終わる。ゼロの死によって「因果応報」という印象しか残らないストーリーだった。モノローグを多用する渋い作品だが、最後のどんでん返しも含め、「殺し屋」という職業を描き切れずに終わってしまった感は否めない。
<評価>★★☆☆☆
<監督・製作>ニック・スタグリアーノ
<脚本>ニック・スタグリアーノ、ジェームズ・ウルフ
<製作総指揮>フレッド・フックス、ナンシー・スタグリアーノ、アンソン・マウント、クリス・ボンガーン、スティーブン・ヘイズ、ピーター・グラハム、ジェイソン・モーリング、マーク・パディラ、スタンリー・プレシュッティ
<撮影>フランク・プランツィ
<美術>ノーム・ドッジ
<音楽>ブルック・ブレア、ウィル・ブレア
<インターネットムービーデータベース>https://www.imdb.com/title/tt4136456/?ref_=fn_al_tt_1
#エージェントゼロ #映画 #漆黒の暗殺者 #アサシンハント #ニック・スタグリアーノ #アンソン・マウント #アビー・コーニッシュ #アンソニー・ホプキンス #ディオラ・ベアード #エディ・マーサン #リチャード・ブレイク #デビッド・モース #殺し屋 #R15+ #ライオンズゲート

エージェント:0 漆黒の暗殺者 [DVD]

エージェント:0 漆黒の暗殺者 [DVD]

  • 出版社/メーカー: アメイジングD.C.
  • 発売日: 2023/06/02
  • メディア: DVD






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【映画レビュー】「ダム・マネー ウォール街を狙え!」(原題「DUMB MONEY」/2023 アメリカ) [映画]

【映画レビュー】「ダム・マネー ウォール街を狙え!」(原題「DUMB MONEY」/2023 アメリカ)
 「蟻のひと噛み巨象を倒す」ということわざがある。一人ひとりの力は小さくともでも、多くの力が集まれば大きく強力な相手を倒すことができる。どうにもならないと思えるような状況でも、多くの人が一丸となり挑むことで世界を変えることができるという希望を表す言葉だ。
 本作は、証券市場の場で、それを成し遂げた男の実話を映画化した物語だ。
 舞台はコロナ禍真っ只中のアメリカ。人々は、行動制限により出勤や通学のみならず、普段の買い物ですら不自由な生活を強いられていた。
 そんな中、マサチューセッツ州の平凡な証券アナリストだったキース・ギルも“ステイホーム”の生活で、在宅勤務と育児を両立しながら、自らの全財産5万ドルをある会社の株に投資していた。
 その会社とは「ゲームストップ」というゲームソフトの小売りを行う企業。現在、ゲーム業界はオンライン販売が、その売り上げの大半を占め、実店舗での販売は廃れつつあった。事実、ゲームストップ社も倒産寸前と噂され、株価は低迷、そこにコロナ禍が襲い、店舗従業員もリストラされ、アルバイト従業員の給料の前払いの要望にも応えられない財務状況だった。
 経済は崩壊し、失業者は激増。学生も奨学金を返せる見込みが立たず、ただただ呆然とするしかなかった。ギル自身も、妹をコロナによって失っていた。
 一方で、ヘッジファンドに身を置き、ウォール街に跋扈する、どこまでも強欲な証券エリートたちは、同社の株を空売りし、右肩下がりのチャートを見て、ほくそ笑んでいた。
 そんな彼らに敢然とケンカを売ったのがギルだ。赤いハチマキに猫のTシャツ姿で、ハンドルネーム“ローリング・キティ”を名乗り、ゲームストップ社の株式を大量保有していることをYouTubeで発表し、「世間は同社の本当の企業価値を見誤っている」とブチ上げたのだ。
 彼の告白はSMSやネット掲示板を通じて拡散され、多くの若者が同調し、同社の株を買い始める。そして同時に、株価も上昇に転じる。
 当初は、ネット民のみで盛り上がっていただけだったが、2倍、3倍、10倍…となっていくと、ウォール街の人々も無視できなくなっていく。同社の株を買っているのは無力な小口の個人投資家ばかりだ。彼ら一人ひとりの含み益はわずかなものだが、レバレッジをかけて株取引をしているエリートたちは、わずかな下落でも、億単位の損失を出すことになるからだ。
 そして、そのムーブメントは全米に飛び火し、全国ネットのテレビニュースでも取り上げられ、ギルは一躍、有名人となる。家の前には支持者やマスコミが殺到、一躍“時の人”となる。
 それでもギルの生活ぶりは変わらない。日々のルーティンであるランニングと、家庭では育児も家事もこなす。ここで株を売ってしまえば莫大な現金を手にし、“億り人”として悠々自適な人生が待っているにも関わらず、決して売り抜けたりせず、支持者のためにYouTube配信を続ける。“ローリング・キティ”はあくまでも経済弱者の味方なのだ。
 しかしある日、ギルのYouTubeチャンネルが“BAN(アカウント停止)”されてしまう。その裏にはウォール街からの圧力が働いたことが窺えるが、確固たる証拠はない。その間、「ギルがゲームストップ社の株を売った」という噂が流れ、株価は下落していく。全てはヘッジファンドの思惑通りに事が進んでいく。
 さらに、全国ニュースで取り上げられたことで連邦議会から問題視され、オンラインの公聴会に召喚されてしまう。その場で「株価操作」と断じられてしまえば、ギルは刑務所送りだ。
 この最大のピンチに、妻の協力もあって、ギルは株に対する思い、辿ってきた半生、そして、もはや埋めようがない国内の経済格差について説く。その心がこもった言葉に質問した議員たちも納得する。ギルは人生最大の危機を乗り超えたのだ。
 その後、BANされていたYouTubeチャンネルが復活する。そこでギルはゲームストップ社の株を売っているどことか買い増していることを告白する。そして再び、同社の株価は沸騰していく。
 結果、ヘッジファンド側は莫大な損失を出し、ギルを信じて付いてきた個人投資家たちは、ウォール街をギャフンと言わせることになる。
 鑑賞後、ゲームストップ社の株価を確認すると、この騒動の最中、最高80ドルを超えていた株価が13ドル程度に落ち着いている。それは、ブームが去った後、同社の本当の企業価値を現した数字なのだろう。
 この事件は、アメリカ証券取引委員会にも影響を与え、市場の動きと個人投資家の行動を調査し始めるきっかけとなった。市場操縦や不正取引の疑いがないかどうか、また、個人投資家の行動が市場の健全性に影響を与えているかを調査することとなった。
 一方で、個人投資家の行動は、ヘッジファンドなどに牛耳られていた市場の透明性と公正性を向上させるものとされた。しかし他方では、SNSを駆使する個人投資家の行動が、株価操作など市場の安定性を損なう可能性もあるとの懸念も生じている。
 この事件は、株式投資が一般化している米国ならではの事件であり、現在の日本にそのまま当てはめることは難しいだろう。しかしながら、本作で描かれている経済格差は、今の日本でも現実に起きていることだ。だからこそ、近未来の日本の姿を予見しているような感覚に囚われたストーリーだった。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://dumbmoney.jp/
<公式X>https://twitter.com/DumbmoneyJP
<監督>クレイグ・ギレスピー
<脚本>ローレン・シューカー・ブラム、レベッカ・アンジェロ
<製作>アーロン・ライダー、テディ・シュワルツマン、クレイグ・ギレスピー
<製作総指揮>マイケル・ハイムラー、ジョン・フリードバーグ、ジョニー・ホランド、ベン・メズリック、ローレン・シューカー・ブラム、アンドリュー・スウェット、レベッカ・アンジェロ、ケビン・ウルリッヒ、キャメロン・ウィンクルボス、タイラー・ウィンクルボス
<原作>ベン・メズリック「The Antisocial Network」
#ダム・マネー #ウォール街を狙え #映画 #クレイグ・ギレスピー #ベン・メズリック #株 #ゲームストップ #投資 #実話 #ポール・ダノ #ピート・デビッドソン #ビンセント・ドノフリオ #アメリカ・フェレーラ #ニック・オファーマン #アンソニー・ラモス #セバスチャン・スタン #シャイリーン・ウッドリー #セス・ローゲン #キノフィルムズ







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【映画レビュー】「スープとイデオロギー」(原題「Soup and Ideology」/2021 韓国・日本) [映画]

【映画レビュー】「スープとイデオロギー」(原題「Soup and Ideology」/2021 韓国・日本)
 在日コリアン2世として大阪市生野区に生まれ、両親は朝鮮総連の幹部、自身も朝鮮学校で、猛烈な民族教育を受けたにも関わらず、帰国事業で北朝鮮に渡った兄3人を追ったドキュメンタリー『愛しきソナ』(2011)や、自信の実体験を基に、北朝鮮で暮らす家族を描いたフィクション作品『かぞくのくに』(2012)を製作したことによって、北朝鮮から入国拒否されているヤンヨンヒ(梁英姫)が、年老いた母を主役を中心に描いたドキュメンタリー。
 自身の日本人男性との結婚、進行する母のアルツハイマー病、そしてストーリーは、母がかつて経験した、6万人が殺されたといわれる「済州島四・三事件」が主テーマとなる。
 父の死後も借金をしてまで、北朝鮮に住む息子たちへの仕送りを続ける母を責めるヨンヒ。その母は、負い目を感じ、さらに自身の衰えも感じながら、長く心の奥深くに秘めていた1948年の済州島での壮絶な体験について、初めて娘であるヨンヒに語り始める。母から消えゆく記憶を残すべく、ヨンヒは母を済州島へ連れて行く。
 その旅は、母をはじめ、済州島から命からがら日本に逃れてきた韓国人にとってはトラウマを呼び覚ますような道中だ。しかしながら、母が鶏を1羽まるごと買って作る参鶏湯スープが、一家の絆の証しとして、物語を彩る。そのスープこそが、母にとっての“イデオロギー”であるからだ。
 母の元に、「済州四・三事件研究会」が訪れ、その凄惨な出来事を次々と証言する。
 しかしその後、母はアルツハイマー病と診断され、いるはずのない家族を探すなどの徘徊行動も見られるようになる。ヨンヒは、寿命も見え始めた母を“生き証人”として、済州島に連れて行くのだが、体力的にもリスクの大きい旅だ。半面、事件を風化させないための、重要な任務も背負っている。
 済州島を訪れた母は、いまや一大リゾート地となった当地の景色に驚かされる。しかし、事件については記憶が所どころ、曖昧になっていた。
 この歴史を知らずに在日コリアンを取り巻く状況を論じることはできないだろう。それほどまでに凄惨な出来事だ。戦後、日本の併合を解かれ、そこに米国、ソ連が入り込み朝鮮戦争が勃発。結果として半島に分裂国家が誕生する。北朝鮮では“楽園”と謳われ、多くのコリアンが移り住むが、その真実はキム一族による独裁国家で、市民は困窮していることに行ってから気付かされる。一方、韓国では、いわゆる「赤狩り」が行われ、済州の事件もその一環といて政府主導で行われたものだ。大国の思惑と政府の陰謀に翻弄された済州島民の悲嘆や怒りは如何ばかりか…。
 物語の最後、ヨンヒと夫は、金日成一族が写った写真の額縁を家から撤去する。母はついに“解脱”したのだ。しかし、平壌に住む兄への手紙は出せないままだった…。
 ドキュメンタリーとしての完成度のみならず、過酷な回想シーンにはアニメーションを活用するなど、映像作品として分かりやすくしている試みも奏功しており、どこまで母に寄り添うヤンヨンヒと、その婚約者男性の優しさも、余すところなく描いている点も、ドキュメンタリー作品として優秀なポイントだろう。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://soupandideology.jp/
<公式X>https://twitter.com/soupandideology
<公式Facebook>https://www.facebook.com/soupandideology
<監督・脚本・ナレーション>ヤンヨンヒ
<プロデューサー>ベクホ・ジェイジェイ
<エグゼクティブプロデューサー>荒井カオル
<撮影監督>加藤孝信
<編集>ベクホ・ジェイジェイ
<音楽監督>チョ・ヨンウク
<アニメーション原画>こしだミカ
<アニメーション衣装デザイン>美馬佐安子
#スープとイデオロギー #映画 #ヤンヨンヒ #梁英姫 #済州島 #ドキュメンタリー #朝鮮総連 #在日朝鮮人 #在日コリアン #韓国 #北朝鮮 #済州島四・三事件 #済州4・3事件 #東風

カメラを止めて書きます

カメラを止めて書きます

  • 作者: ヤン ヨンヒ
  • 出版社/メーカー: CUON
  • 発売日: 2023/04/28
  • メディア: 単行本






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