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【映画レビュー】「山女」(2022 日本・アメリカ) [映画]

【映画レビュー】「山女」(2022 日本・アメリカ)
 18世紀末の東北の寒村を舞台に、過酷な運命に翻弄されながらも、たくましく生きる女性・凛(山田杏奈)を描いている。脚本も務める福永壮志監督が、柳田國男の「遠野物語」に着想を得たとされる作品だ。
 冷害で食糧難に苦しむ村。農家で子が産まれるが、食わせられないという理由で、両親はすぐに窒息死させるショッキングなシーンでストーリーが始まる。死体処理の汚れ仕事をやっている凛は遺体と料金を受け取り、凛は川に遺体を流して山に向けて祈る。
 そんな彼女の心の救いは、盗人の女神が宿るといわれる早池峰山。ある日、村で米泥棒の事件を起こし、村人から責められる父親・伊兵衛(永瀬正敏)に代わって罪を被った凛は、殴られ、山に逃げ込む。そして、決して越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越えた凛は、さらに山の奥深くへと進んでいく。そんな凛の前に現れたのは、人間なのかもわからない不思議な山男(森山未來)だった。
 凛と山男の親子のような共同生活を送っていたが、村長(品川徹)にマタギを雇って凛を捜索させる。火炙りの儀式を行う生贄にするためだ。凛は山男の上着を織ってやり、山男の髪を手入れしてやる。マタギ集団と泰蔵は祠を越えて山に入る。泰蔵(二ノ宮隆太郎)は凛を見つけて説得するが拒否される。そこに山男が現れてマタギと殺し合いになり、山男はマタギを何名か撲殺するが、結局は火縄銃を受け絶命する。凛はその場で自分も殺せと懇願するが、村に連行される。
 村に帰った凛は監禁され、伊兵衛は罪の帳消しと引き換えに凛の生贄を受け入れる。泰蔵は黙っていた春(三浦透子)を責めるが、春は村の掟には逆らえないと一蹴する。夜に父から生贄のお勤めを告げられて凛は了承する。泰蔵は牢屋の前で泣き崩れて凛に謝罪するが、結局家に帰って春を抱く。
 真夜中の牢屋で、凛は馬の銀色に光る立髪に、山男の面影を見る。
 村人総出で火炙りの儀式を行う。凛が磔にされながら山を見つめ、天国へと思いを馳せる。凛の足元に火が着けられた直後、激しい雨が降り、火は消えてしまう。雷が磔の柱を直撃し、縄が解ける。気絶から目覚めた凛は朦朧としたまま山へと歩き出す。村人達は神が降りたと恐れ慄く。
 そして凛は山へと姿を消し、山女の伝説として後世まで村で語り継がれることになるのだ。
 遠野物語から着想を得たと言ってはいるが、その内容は、貧しい寒村で苦しみ、1人の女性を生贄にしようとする救いようもないストーリーだ。
 山男の存在も、ストーリーに大きく影響を与えることはなく、ただファンタジー要素を描きたかったが故に、無理やりネジ込んだような印象を受ける。
 実際に、こういう時代があったのかも知れない。しかし、「東北=貧しい・寒い・意味のない神頼み・生贄・村八分」といったステレオタイプの描写にはウンザリしてしまう。日米合作の作品だが、これは米国側からの視点なのか。だとしても、あまりにも遠野物語と柳田邦男を愚弄してはいまいか。
 主人公を演じた山田杏奈が、新境地を開拓したかのような好演を見せている。逆をいえば、それがなければ何も印象に残らない作品だった。
<評価>★☆☆☆☆
<公式サイト>https://www.yamaonna-movie.com/
<公式X>https://twitter.com/yamaonna_movie
<公式Instagram>https://www.instagram.com/yamaonna_movie/
<監督>福永壮志
<脚本>福永壮志、長田育恵
<プロデューサー>エリック・ニアリ、三宅はるえ、家冨未央、白田尋晞
<エグゼクティブプロデューサー>安田慎、中林千賀子、白田正樹
<撮影>ダニエル・サティノフ
<照明>宮西孝明
<美術>寒河江陽子
<録音>西山徹
<整音>チェ・ソンロク
<装飾>柴田博英
<衣装>宮本まさ江
<メイク>金森恵
<かつら>荒井孝治
<特殊メイクデザイン>百武朋
<VFXスーパーバイザー>オダイッセイ
<編集>クリストファー・マコト・ヨギ
<音楽>アレックス・チャン・ハンタイ
<助監督>北川博康
<制作担当>大村昌史
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山女

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