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【映画レビュー】「わたしの幸せな結婚」(2023 日本) [映画]

【映画レビュー】「わたしの幸せな結婚」(2023 日本)
 顎木あくみの小説を実写映画化した作品。平安時代と大正時代をミックスさせたような架空の世界を舞台に、エリート軍人と家族に虐げられて育った女性の出会いと結婚までを描いたシンデレラストーリーだ。
 この世界では、恐怖心から生まれた異形の存在「異形」が災いをもたらしていた。特殊能力「異能」のひとつで未来を予知する「天啓の異能」を受け継ぐ一族が国を支配する「帝」となり、様々な異能を持つ家系が災いから守り続けてきた。
 そして、異能者の中で不遇な最期を迎え、成仏できなかった魂は「奥津城(おくつき)」なる場所に納められる。しかしある時、奥津城に何者かが現れ、その魂を開放してしまいまう。
 斎森美世(今田美桜)は異能の家系に生まれたが、異能の力を持ってはいなかった。実の母は美世が幼い時に亡くなり、父・真一(高橋努)は後妻として香乃子(山口紗弥加)と再婚、真一は香乃子との間に生まれた香耶(髙石あかり)ばかりを可愛がり、美世は香乃子と香耶から虐げられてながら育つ。
 ある日、美世は政略結婚として陸軍特殊部隊の隊長・久堂清霞(目黒蓮)へ嫁ぐことを命じられる。清霞は、その冷酷な性格で、数多くの婚約者候補が3日も持たずに逃げ出していた。
 久堂家に入った美世は、清霞から「出ていけと言ったら出ていけ、死ねと言ったら死ね」と冷たい言葉を吐きかけられる。しかし、斎森家に戻ったところで地獄のような生活が待つ美世は、清霞に気に入られようと必死に食らいつく。
 美世は、久堂家の使用人・ゆり江(山本未來)と親しくなる。ゆり江は美世と清霞の間柄を取り持ち、美世は清霞が悪評通りの人物ではないことに気づいていく。清霞もまた少しずつ美世に心を開くようになっていく。
 清霞は美世の実家である斎森家の内情について調べる。斎森家の内情は劣悪で、美世の母・澄美(土屋太鳳)は人の心に干渉する強力な異能を持つ薄刃家の出であることを知る。
 ある日、ゆり江と共に街に出かけた美世は、ゆり江が傍を離れている間に偶然にも香耶や幸次と出くわし、香耶は美世に痛烈な憎まれ口を叩き、美世はトラウマから過呼吸を起こす。そんな美世を助けたのは突然現れた鶴木新(渡邊圭祐)だった。
 清霞は斎森家に出向き、真一とに美世と結婚すると伝え、美世に過去の虐待と謝罪せよと要求するが、真一は「少し考えさせてほしい」とだけ答える。
 そんな中、美世は度々自分が香乃子と香耶から虐待を受ける悪夢にうなされていた。すると、斎森家の元使用人で、美世の数少ない味方の花(小林涼子)が訪ねてくる。美世は花に、自分が異能の力を持っていないため、清霞の妻には相応しくないのだと明かす。
 美世は清霞に自分には異能がないことを伝え、感謝の気持ちを示して久堂家を去ることにするが、清霞はそれでも一緒にいたいと引き留め、2人は改めて互いの気持ちを確認し合う。
 ところが、美世は突然現れた者たちに拉致されて連行されてしまう。美世を連れ去ったのは真一ら仕業だった。斎森家に連れ戻された美世は香乃子と香耶から折檻を受け、清霞と別れるよう脅されるが、美世は頑なに拒否する。知らせを受けた清霞は斎森家に駆けつけ、屋敷を異能の力で焼き払うと、監禁されていた美世を助け出す。
 その5日後、久堂家に新が現れ、澄美は鶴木家の出であることを美世に伝える。美世は清霞と共に鶴木家に出向くと、出迎えた新は自分の本名は「薄刃新」であることを明かす。新は美世の悪夢の原因は薄刃家の異能によるものであり、人の夢に入り込んで夢を操り精神を支配することができる異能「夢見の才」によるものだと言い当てる。
 美世は、自分自身も知らなかった夢見の才の異能の持ち主であり、いつかは自らを滅ぼすほどの力を持っていた。新は同じ異能を持つ自分しか美世を救うことができないと告げ、美世を助けることができないと悟った清霞は彼女を残して去る。美世は新の祖父で澄美の父である鶴木家当主・義浪(火野正平)と引き合わせられる。美世と新はいとこ同士であり、新は美世に求婚する。
 その頃、この国の最高権力者であり未来を予知する異能を持つ帝は重い病に臥せっていました。帝は奥津城の魂が解放されたがためにこの国には災いが訪れると予言し、後継者である皇子・堯人(大西流星)に後を託す。堯人は幼馴染である清霞の身を案じ、使いを出す。その直後に帝は亡くなり、堯人は奥津城の魂を解放したのは帝の専属医師だった枢木忠則(尾上右近)だったことを知る。
 帝都は奥津城の魂による災いに襲われ、人々は次々と謎の病にかかって暴れ出す。清霞の部下・望月東弥(佐藤新)も病に感染し、そのまま軍に戻ったために軍人の半数が感染して暴れ出す。
 清霞は被害の拡大を抑えるため結界を張るが、結界内では異能を使うことができず、苦戦を強いられる。感染拡大を食い止めるためには感染者を殺す以外の方法はなく、清霞は断腸の思いで望月を殺し、感染した仲間たちとの戦いを強いられる。
 清霞を助けたい美世は引き留める新を振り切り、軍へ向かう。そこで美世は、夢見の才を発動させ、清霞を救い、病に感染していた人々は元に戻る。そこに堯人が現れ、澄美は夢見の才を悪用しようと目論む者から美世を守るために異能を封印していたと伝える。清霞と美世は家に帰り、清霞は改めて美世に結婚を申し込み、美世は笑顔で受け入れる。
 一方で、行方をくらましていた枢木は面をつけた謎の人物に全てはつつがなく終わったことを報告していました。謎の人物は「迎えに行くよ、美世」と意味深な言葉を発するのだった。
 現代でも古代でもない不思議な世界観の作品だが、無表情で冷酷である一方、美世に心を開く際に見せる優しい表情が印象的な目黒蓮の演技の奥深さと、とことんまで悲劇のヒロインを演じ切り、最後の最後に幸せをつかんだ今田美桜によって、一本、芯の通った作品に仕上がっている。
 一見複雑なストーリーだが、善人と悪人のキャラクター設定がハッキリしており、ファンタジーさと、意味ありげなラストシーンも含めて、タイトルに負けていないシナリオとなっている。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://watakon-movie.jp/
<公式X>https://twitter.com/watakon_movie
<公式Instagram>https://www.instagram.com/watakon_movie
<公式TikTok>https://www.tiktok.com/@watakon_movie
<監督>塚原あゆ子
<脚本>菅野友恵
<製作>堀内大示、市川南、安倍純子、藤島ジュリーK.、川村龍夫、池邉真佐哉、岡崎剛之、緒方寛治、長嶋潤二、Hide、五十嵐淳之
<企画>椿宜和、上田太地、渡辺信也
<プロデューサー>今安玲子、稲垣優、加藤章一、松本桂子
<スーパーバイジングプロデューサー>那須田淳
<撮影>江原祥二
<照明>杉本崇
<録音>加藤大和
<美術>佐久嶋依里、加藤たく郎
<装飾>堀口浩明
<衣装デザイン>宮本まさ江
<ヘアメイク>千葉友子、荻野さおり
<CGアーティスト>早野海兵
<VFX>小坂一順
<カラーグレーディング>齋藤精二
<選曲>遠藤浩二
<音響効果>花谷伸也
<編集>森本大輔
<音楽>立山秋航
<スクリプター>森本順子
<助監督>森裕史
<監督補>府川亮介
<制作担当>松岡利光 皆見栄伽
<ラインプロデューサー>塩村香里
<アソシエイトプロデューサー>天馬少京、本多航大、水木雄太
<原作>顎木あくみ「わたしの幸せな結婚」(KADOKAWA) https://www.ganganonline.com/title/30
<主題歌>Snow Man「タペストリー」(MENT RECORDING) mentrecording
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