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【映画レビュー】「アステロイド・シティ」(原題「Asteroid City」/2023 アメリカ) [映画]

【映画レビュー】「アステロイド・シティ」(原題「Asteroid City」/2023 アメリカ)
 “奇才”ウェス・アンダーソン監督のよって、アメリカ南西部にの砂漠の街「アステロイド・シティ」に宇宙人が到来したことから起こる大騒動を、独特の世界観で描いたコメディ作品。
 ジェイソン・シュワルツマン、エドワード・ノートンなどアンダーソン監督作の常連俳優陣に加え、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、マーゴット・ロビーら豪華キャスト陣が名を連ねている。
 物語冒頭でテレビ司会者が番組の趣旨を說明する。これは新作舞台劇の制作過程を舞台裏から見ていくテレビ番組で、そのために創られた架空のドラマだと紹介する。
 アメリカが輝いていた1955年、隕石が落下して出来た巨大なクレーターが観光名所である「アステロイド・シティ」に、ジュニア宇宙科学大会の栄誉に輝いた5人の天才的な子どもとその家族が招待される。
 子どもたちに母親が亡くなったことを伝えられない父親のオーギー(ジェイソン・シュワルツマン)、マリリン・モンローを彷彿とさせるグラマラスな映画スターのシングルマザーのミッジ・キャンベル(スカーレット・ヨハンソン)、それぞれが様々な思いを抱えつつ授賞式は幕を開けるが、祭典の最中にUFOが飛来し、宇宙人は展示品の隕石を持ち去る。とっさに宇宙人を撮影するオーギー。一方で、人々は大混乱に陥る。
 街は封鎖され、軍は宇宙人の存在を隠蔽しようとするが、子どもたちは、宇宙人の情報を伝えようと学校新聞に記事を掲載する。
 それを聞きつけ、アステロイド・シティには観光客が押し寄せ、宇宙人みやげの露店が並ぶ。そこに再びUFOが現れ、奪った隕石を落としていく。
 その頃、テレビ番組では、優秀な俳優志望の人々が学ぶ演劇ゼミで討論した劇作家が、「目覚めたければ眠れ」という結論に辿り着く。
 翌朝、オーギーが寝坊して起きると、ミッジをはじめ、軍人も少年少女たちも全員が姿を消していた。深夜に拘束の解除が発表され、皆が帰途についたのだ。表彰式が流れたことで、どさくさ紛れにウッドロウ(ジェイク・ライアン)が奨学金の小切手を受け取る。妻の死で子どもたちを義父のスタンリー(トム・ハンクス)に預けることを考えていたオーギーだが、絆が戻り、一家は全員で家に帰って行った。
 非常にややこしい構造の作品で、「アステロイド・シティ」という舞台劇、その舞台劇を紹介するテレビ番組、そのテレビ番組の舞台裏という3重構造になっている。モノクロ画面で映画は幕を開け出たと思えば、テレビ司会者(ブライアン・クランストン)が劇作家のコンラッド・アープ(エドワード・ノートン)の戯曲を紹介。そして画面はカラーのスコープサイズに変貌し、劇中劇「アステロイド・シティ」が始まる。そして時折、テレビ番組の舞台裏が挿入される。途中で付いていくことを諦めさせるほどの目まぐるしさだ。
 シュールなアメリカンジョークが散りばめられ、多重構造のストーリー、美しい映像には見どころはあるものの、とにかく難解。それがウェス・アンダーソンを言ってしまえばそれまでなのだが、かなり見る人を選ぶ作品であることは確か。しかし、これだけの豪華キャストが集っていることから、ハリウッドの中に彼のファンが多いことの証明だろう。
 ウェス自身も、鑑賞者に対して、この世界観を完全に理解することは求めていないのではないだいだろうか。「なんだこの映画!?」と思わせることが狙いのようにすら思える。
 この作品を通じて、ウェスは何を訴えたいのかなど考える必要もないと思えるほどの異色作だ。もはやコメディでも群像劇でもない“ウェス・アンダーソン作品”という新たなジャンルといえる本作。日本では全くといっていいほど話題にならなかったが、それも致し方ないだろう。この作品を日本人の感性で理解するのは不可能と感じるからだ。
<評価>★☆☆☆☆
<公式サイト>https://asteroidcity-movie.com/#
<公式X>https://twitter.com/asteroidcity_jp
<公式Instagram>https://www.instagram.com/asteroidcity_jp
<監督・脚本>ウェス・アンダーソン
<原案>ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ
<製作>ウェス・アンダーソン、スティーブン・レイルズ、ジェレミー・ドーソン
<製作総指揮>ロマン・コッポラ、ヘニング・モルフェンター、クリストフ・フィッサー、チャーリー・ウォーケン
<撮影>ロバート・イェーマン
<美術>アダム・ストックハウゼン
<衣装>ミレーナ・カノネロ
<編集>バーニー・ピリング、アンドリュー・ワイスブラム
<音楽>アレクサンドル・デスプラ
<音楽監修>ランドール・ポスター
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アステロイド・シティ Blu-ray ジュニア・スターゲイザー・パック

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  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2023/11/22
  • メディア: Blu-ray






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