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【映画レビュー】「警官の血」(原題「경관의 피」/英題「The Policeman's Lineage」/2022 韓国) [映画]

【映画レビュー】「警官の血」(原題「경관의 피」/英題「The Policeman's Lineage」/2022 韓国)
 本作の原作は、2007年に刊行され、日本冒険小説協会大賞やこのミステリーがすごい!」で1位に輝いた佐々木譲の長編小説だ。日本でもドラマ化され、主人公が3代にわたり、未解決事件を追う警察一家を描いたものだ。
 しかし本作は、主人公のチェ・ミンジェ(チェ・ウシク)が警察一家に育ったこと、警察組織の闇を追う中で、父の正体を知ってしまうこと以外は大幅な脚色がなされ、舞台もソウルであることから、「原作」というより「原案」といった方が適切だろう。
 警官殺害事件が起き、その黒幕に、敏腕刑事パク・ガンユン(チョ・ジヌン)が浮上する。ガンユンは高い検挙率を誇る一方で、裏社会との繋がりを疑われていた。
 そんなガンユンの内偵調査に、違法捜査を良しとしない真っ直ぐな性格ながらも、まだ経験の浅いミンジェが指名される。
 上官はその理由として“警官の血”があるからと、ミンジェに説明する、刑事だったミンジェの父はかつて殉職したものの、その事実を隠蔽された過去の因縁があった。
 ガンユンとミンジェはコンビを組み、新種の麻薬捜査に乗り出すが、ミンジェは、裏社会と深く通じたガンユンの悪徳刑事ぶりを知ることになる。さらにガンユンは麻薬組織から金をせびって、捜査費としていた事実が判明する。違法捜査を繰り返すガンユンの隣で正義とは何かを追い求めるミンジェは、警察内部の秘密組織とその裏に隠された不正行為、さらに殉職した父の死の真相に迫っていく。
 ところが、ガンユンの不正行為を追及するために送り込まれたはずのミンジェは、徐々にガンユンに魅せられ、懐柔されてしまう。そこでミンジェは生前、父が「警官にだけはなるな」と語っていた意味を知ることになる。父も悪の道に染まってしまっていたからだ。
 刑事ドラマなのだが、アクションシーンやドンパチも少なめな印象。基本的に会話劇と登場人物の表情で物語が進行していく、かなり骨太な作品だ。
 ガンユンがミンジェに語る「黒にも白にも染まるな。それが刑事だ」というセリフが本作のメインテーマであり、説得力がある。
 『パラサイト 半地下の家族』では、気弱な浪人生を演じたチェ・ウシクだが、本作では重要な任務を任され困惑する若き刑事から、ガンユンの元でしたたかさを身に付けていく役柄を好演している。
 原作が日本の小説であっても、韓国ノワールとして十分に見応えのある作品に仕上がっている。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://klockworx-asia.com/policeman/
<監督>イ・ギュマン
<脚本>ペ・ヨンイク
<撮影>カン・グクヒョン
<音楽>チャン・ヨンギュ
<原作>佐々木譲「警官の血」(新潮社) https://www.shinchosha.co.jp/ebook/E054811/
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警官の血 デラックス版(Blu-ray+DVDセット) [Blu-ray]

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