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【映画レビュー】「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」(2024 日本) [映画]

【映画レビュー】「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」(2024 日本)
 本作は、日本テレビとHulu共同制作ドラマとして2021年1月からシーズン1が放送開始され、以降、キャストを入れ替えながら、Huluでの配信という形でシーズン4まで製作された人気ドラマシリーズ『君と世界が終わる日に』。「きみセカ」という略称で親しまれ、シーズン1で、主人公・間宮響を演じた竹内涼真にとっては、デビュー作の『仮面ライダードライブ』(2024-2015)以来となるドラマ主演作だ。
 物語冒頭、交際中の小笠原来美(中条あやみ)にプロポーズしようとするが、なかなか言い出せない響。そこに、ドライブ中の柴崎大和(高橋文哉)と羽鳥葵(堀田真由)が通りがかる。どうやらクルマが故障してしまったようだ。自動車整備工の響は直してあげようとするが、大和は何故かケンカ腰で響に接する。
 それでもどうにかクルマを修理し、大和の態度に呆れながらも、2人を見送る。しかし、そのせいでプロポーズのタイミングを逸し、用意していた指輪をポケットにしまう響。
 このシーンから、高橋文哉と堀田真由の新キャストを迎えた上で、シーズン1の流れを汲んでいるストーリーといって良さそうだ。また、ドラマ版を見ていない層にも分かりやすい導入となっている。
 場面は一気に暗転し、響と来美が住む三浦半島全域を襲い、噛まれた者は「ゴーレム」と呼ばれるゾンビになり、それがネズミ算式に拡大していく謎の感染症・ゴーレムウイルスによって、破壊された世の中に転換する。
 ところが、「ユートピア」と呼ばれる2つのタワービルが存在し、1棟は政治家や富裕層などの上級国民が住み、もう1棟は、ゴーレムウイルスのワクチン開発をするための研究所が入居していた。
 ゴーレムウイルスに感染した来美を、自らの手で葬っていた響は、天城ジン(板垣李光人)、加地裕也(黒羽麻璃央)、松山寿人(橘優輝)、藤丸礼司(窪塚愛流)と協力し、地下街を通って、ユートピアに乗り込む、その中には、冒頭に登場した大和も加わっていた。彼は成長し、元鳶職人としての身の軽さを生かし、響と運命を共にする。大和はかつて、響にクルマを直してもらったことを覚えており、恩を感じていたのだ。
 響と亡き来美の間に生まれた一人娘のミライは、特殊な抗体を持つとされワクチンの研究材料にされていた。長官の西条玄(吉田鋼太郎)の指揮の下、首藤シンジ(須賀健太)をトップとするワクチン研究チームにミライは囚われの身となり、その身の回りの世話をしていたのが葵だった。
 響は、集まった男たちとミライを救い出すと決意するのだが、待っていたのは自己保身と裏切り、暴力こそが正義という現実だった。
 途中、ユートピアに向かう仮面の女性と、女性を道案内する謎の老人が登場する。いきなりの場面転換に戸惑うが、この人物こそが本作が“完結編”たらしめる重要人物と分かってくる。
 さらにユートピアの中を突き進むと、大和は、ゴーレムウイルスに感染し変わり果てた姿となった兄(菅田将暉)と再会する。しかし、兄はすでに生きる気力を失っており、自分を殺すよう懇願。響と大和は逡巡しながらも、彼の望みを聞き入れ、手を下す。
 ついにワクチン研究所の中枢に辿り着く響。しかし、その場で首藤から驚愕の真実を聞かされる。その事実は西条をも激怒させ、首藤は西条を射殺。返す刀で響も撃つ。
 しかし同時にユートピアは崩落の危機にあった。裏切り者の加地が爆弾を仕掛けていたのだ。
 複数の時限爆弾が同時に爆発し、崩れ落ちるユートピアのタワービル。西条は直前にヘリコプターで脱出に成功したかに見えたが、そのヘリにも爆弾が仕掛けられており、西条も墜落する。
 地獄絵図の中、響はミライに、どんな未来が待っていようと、希望を持って生きるよう告げるのだった。
 さらに場面が転換し、その後日譚的に、仮面の女性と謎の老人が登場。その正体を明かし、物語は終わるが、エンドロールの最後には、言葉の主が分からない形で「もう1つのビルで待っている」と、意味ありげなメッセージが残される。
 コロナ禍の中でドラマ版が放送され、「ウイルス」という言葉に過敏なご時世だったこともあり、ヒットした反面、批判も浴びた本作。コロナ禍が去った今、完結編をリリースするタイミングとしては絶好の機会だったのかもしれない。三十路を迎えた竹内涼真の演技も渋みを増していた。
 しかしながら、物足りないと感じた部分もある。せっかくの劇場版だ。しかもタイトルに「世界が終わる日」「FINAL」という文言がある割に、物語自体はユートピアのビル内でほぼ完結してしまっている。あまりにも世界観が狭すぎる印象だ。
 「世界が終わる」と言い切っている以上、もっと“終末感”が欲しいところだ。
 それでもゾンビアクション作品と謳っていながら、単にゾンビが暴れまくる単調なストーリーではなく、しっかりとした人間ドラマを描いており、造形にもこだわったであろうゾンビをあえて“脇役”とし、最も恐ろしいのは人間である半面、最後の最後に人を突き動かすのは「愛」であるという明確なテーマを持って製作されている点は評価に値する。
<評価>★★★☆☆
<公式サイト>https://kimiseka-final.jp/
<公式X>https://twitter.com/kimiseka_ntv/
<公式Instagram>https://www.instagram.com/kimiseka_ntv/
<公式TikTok>https://www.tiktok.com/@kimiseka_hulu
<監督>菅原伸太郎
<脚本>丑尾健太郎
<製作>桑原勇蔵、松本達夫、菅井敦、市川南、高谷和男、松本拓也、桑原佳子、加藤幸二郎、小林栄太朗
<エグゼクティブプロデューサー>飯沼伸之、田中宏史、三上絵里子、長澤一史
<プロデューサー>鈴木亜希乃、伊藤裕史、白石香織、櫛山慶
<撮影>高原晃太郎
<照明>稲村洋幸
<Bカメラ>宮澤一央
<DIT>熊倉智大
<録音>野崎秀人
<アクションコーディネート>柴原孝典
<美術>小池寛
<美術デザイン>山本聡、内田哲也、宇都宮太一
<キャラクターデザイン>前田勇弥
<ヘアメイク>三好啓子
<特殊メイク造形ディレクター>石野大雅
<編集>堀善介
<音楽>植田能平、會田茂一、ノグチリョウ、スワベック・コバレフスキ、A-bee
<VFXスーパーバイザー>堀尾知徳
<サウンドデザイン>泉清二
<記録>井手希美
<協力プロデューサー>小布施顕介
<スケジューラー>山下司
<監督補>山田信義
<制作担当>由利芳伸
<主題歌>菅田将暉「谺する」(SONY MUSIC) https://www.sonymusic.co.jp/artist/masakisuda/discography/ESXX02834B01A
<挿入歌>安田レイ「Ray of Light」(SONY MUSIC) https://www.sonymusic.co.jp/artist/yasudarei/discography/VVCL-2415
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  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2021/09/10
  • メディア: Blu-ray






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