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【映画レビュー】「ロスト・キング 500年越しの運命」(原題「The Lost King」/2022 イギリス) [映画]

【映画レビュー】「ロスト・キング 500年越しの運命」(原題「The Lost King」/2022 イギリス)
 ダイアナ妃の突然の事故死の最中にある当時の英国王室の舞台裏を描いた『クィーン』(2006)などの代表作で知られる巨匠スティーブン・フリアーズが、500年にわたり行方不明だった英国王リチャード3世の遺骨発見の立役者となった女性の実話を基に製作したヒューマンドラマ。
 フィリッパ・ラングレー(サリー・ホーキンス)は職場で上司から理不尽な評価を受けるが、別居中の夫から生活費のため仕事を続けるように言われてしまう。
 そんなある日、息子の付き添いでシェイクスピアの「リチャード3世」を鑑劇した彼女は、英国史上、最も冷酷非情な王として描かれる劇中の主人公に共感。そしえ、彼の研究に没頭する。1485年に死亡したリチャード3世の遺骨は近くの川に投げ込まれたと考えられてきたが、その遺骨探しにのめり込んでいく。
 500年以上も行方不明だった英国王の遺骨が2012年に発見された実話であり、それを発掘したのが一般人女性だったという事実に驚かされる。
 ロマンを感じさせる話だが、本作での描写は、あまりにもドラマチックな演出によって、ファンタジーに寄ったストーリーになっており、実話ベースの物語なのに、もったいなさを感じる。
 結果、フィリッパの偉業は、レスター大学と考古学者リチャード・バックリー名誉教授に横取りされてしまうのだが、これらの悪役を実名で登場させている点は評価に値する。しかも、製作にBBCが加わっていることから、名指しされた両者は、文句も言えないだろう。
 その後、フィリッパに大英国勲章を授与されるラストシーンも心地良いものだ。
 しかし、如何せん、テーマが「遺骨の発掘」という地味なものとあって、中弛み感は否めない。挿入され続ける音楽が、その間を埋めようとしているが、それすらも聞き苦しくなってしまうほどだ。
 一歩間違えれば“アブない女”とされそうなキャラクターをサリー・ホーキンスが軽やかに演じており、英国の階級社会の闇も感じさせるストーリーも本作の見せ場だろう。
 しかし、日本人の目から見ると、遺骨発掘は、研究者によって日常的に行われており、取り立てて珍しい話でもないとも感じてしまうのだ。
 知的好奇心をくすぐるストーリーではあるが、エンタメ色という点ではもう一つ、物足りなさを感じさせる作品だった。
<評価>★★☆☆☆
<公式サイト>https://culture-pub.jp/lostking/
<公式X>https://twitter.com/thelostking0922
<監督>スティーブン・フリアーズ
<脚本>スティーブ・クーガン、ジェフ・ポープ
<製作>スティーブ・クーガン、クリスティーン・ランガン、ダン・ウィンチ
<製作総指揮>キャメロン・マクラッケン、ジェニー・ボーガーズ、ローズ・ガーネット、アンドレア・スカルソ、ジェフ・ポープ、フィリッパ・ラングレー
<撮影>ザック・ニコルソン
<美術>アンディ・ハリス
<衣装>ローナ・ラッセル
<編集>ピア・ディ・キアウラ
<音楽>アレクサンドル・デスプラ
<原作>フィリッパ・ラングレー、マイケル・ジョーンズ「Looking For Richard Project」
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