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【映画レビュー】「JFK」(原題「JFK」/1991 アメリカ) [映画]

【映画レビュー】「JFK」(原題「JFK」/1991 アメリカ)
 1963年11月22日、テキサス州ダラスで起きたケネディ大統領暗殺事件の捜査に疑問を抱き、独自に捜査する地方検事ジム・ギャリソン(ケビン・コスナー)を主人公にした作品。あくまでフィクションとしているが、当時の映像や新聞報道が、ところどころに登場し、限りなくノンフィクションに寄せているといっていいだろう。
 本編は189分、ディレクターズ・カット版は206分という超大作だ。オリバー・ストーンがいかにこの事件に関心があったか、真実を追求しようとしたかが伝わってくる。
 独自捜査を進めていく中で、オズワルド(ゲイリー・オールドマン)による単独犯行説は否定され、陰謀説が色濃くなっていくが、証人の中には不審死を遂げる者も現れ、恐怖を感じて証言を拒否する人も増えていく。しかし、事件に関する重要人物としてニューオーリンズの実業家クレイ・ショー(トミー・リー・ジョーンズ)に行き当たる。
 事件の真相に迫るはずのウォーレン委員会は、証言を改竄し、事件を闇に葬ろうとするが、ギャリソンはワシントンで「X」と名乗る高官と会う。彼は暗殺が政府最高レベルでのクーデターであったことを示唆し、CIA、マフィア、軍、シークレットサービス、FBI、そして当時の副大統領リンドン・ジョンソンが共謀者であるか、暗殺の真実を隠蔽する動機を持っていたと仄めかす。
さらにXは、ケネディが米軍をベトナム戦争から撤退させ、CIAを解体したがっていたために殺されたのではないかとギャリソンに語る。
Xはギャリソンに捜査を続けてショーを起訴するよう勧め、ギャリソンはショーをケネディ殺害の共謀罪で起訴する。
 一方で、ギャリソンがあまりにも事件にのめり込んでいったことで、妻のリズ(シシー・スペイセク)は不満を溜め込み、家族関係はギクシャクする。遂にはギャリソン上に無言電話がかかってくるようになり、リズはギャリソンが自己中心的だと責め、同性愛者であるという理由だけでショーを攻撃していると非難する。対するギャリソンも言い返し、口論の末、「離婚」も口にする。
 ギャリソンのスタッフもショーの動機を疑い始め、ギャリソンのやり方に異を唱え、調査から離れていく。その中の1人、ビル・ブルサード(マイケル・ルーカー)は、実はFBIの内通者で、ギャリソンを誘拐、殺害するといった役割を担っていたことが、後に明らかになる。
 さらに、ギャリソンは陰謀論を裏付けるために税金を無駄にしているとしてメディアで批判される。対するギャリソンはマーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺とケネディの暗殺との間に関係があると読む。
 ショーの裁判は1969年から始まる。ギャリソンは裁判所に対し、「1発の銃弾」という説の却下を提案し、ジョンソンを大統領の座に就かせることを目的として、3人の暗殺者が6発の発砲を行い、オズワルドをケネディ殺害の罪に陥れたという仮説を提示する。それはリンドン・ジョンソンが次期大統領になれば、ベトナム戦争を激化させ、防衛産業を儲けさせることが出来るからであるという根拠によるものだ。
 しかし、陪審は1時間足らずの審議の後、ショーに無罪判決を下す。この訴追は失敗に終わり、大統領暗殺という国家を揺るがす事件の真相は闇に葬られてしまうが、ギャリソンの信念は、妻リズや5人の子どもたちの尊敬を勝ち取り、家族との関係は修復するのだった。
 とにかく長尺の作品だが、矢継ぎ早に様々な出来事が起こり、米国の黒歴史を知る上で非常に重要な作品だ。
 オリバー・ストーン自身も「あくまでエンターテインメント」と語っている通り、作中で起こる出来事には、ある程度の誇張や脚色もある。しかしながら、自身の戦争体験を基に、数々の社会問題を題材としてきたオリバー・ストーンの真骨頂が垣間見える作品でもある。この作品のヒットによって、政府も対応を迫られ、翌年、機密文書の公開に至ることになる。1つの映画作品が国家をも動かした点で、歴史に残る偉業を成し遂げたといえよう。
<評価>★★★★★
<公式サイト>https://www.20thcenturystudios.jp/movies/jfk
<監督>オリバー・ストーン
<製作>A・キットマン・ホー、オリバー・ストーン
<製作総指揮>アーノン・ミルチャン
<脚本>オリバー・ストーン、ザカリー・スクラー
<撮影>ロバート・リチャードソン
<美術>ビクター・ケンプスター
<衣装>マーリーン・スチュワート
<編集>ジョー・ハッシング、ピエトロ・スカリア
<音楽>ジョン・ウィリアムズ
<原作>ジム・ギャリソン、ジム・マース「JFK ケネディ暗殺犯を追え」(早川書房)
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