SSブログ

【映画レビュー】「リバー、流れないでよ」(2023 日本) [映画]

【映画レビュー】「リバー、流れないでよ」(2023 日本)
 京都・貴船にある老舗料理旅館「ふじや」を舞台に巻き起こるタイムループ系コメディ。劇団ヨーロッパ企画を主宰する上田誠が原案と脚本を担当し、同劇団所属の山口淳太のメガホンを取っている。
 仲居のミコト(藤谷理子)は貴船川のほとりで佇んでいた。仕事に戻り、番頭と部屋の後片付けをするが、なぜか2分前にいた貴船川のほとりに何度も戻ってくる。
 他の旅館の従業員や宿泊客なども2分間のループに巻き込まれ異変を感じている。仲居のチノ(早織)は客から頼まれた熱燗ができず、客のノミヤ(諏訪雅)たちはひたすら同じ雑炊を食べ続け、作家のオバタ(近藤芳正)は書いたはずの原稿が白紙に戻るなど、それぞれが2分前に戻るタイムループに悩まされる。
 2分経つと時間が巻き戻り、その間の行動は全てなかったことになるが、記憶だけはリセットされることなく連続しているために、次第に感情を昂らせ、徐々に取り乱す者も現れる。
 また、その中から抜け出したいと思う人ばかりではなく、タイムループの状態にとどまりたい人も現れ、それぞれの思惑が入り乱れていく。そんな中で、ミコトは自身の思いがループに関係しているのではないかと思い始め、独り、複雑な思いを抱える。
 2分間のタイムループという斬新な設定で、片付けたはずのお膳が片付けられていない、食べているはずの雑炊が全く減らない、風呂で洗髪しているはずがシャンプーが洗い流せない…などといった、小ネタを散りばめたストーリーを、長回しで小気味よく描いており、飽きさせない作品に仕上がっている。
 典型的な低予算、かつアイデア勝負の作品だが、演者の芝居には見どころがあり、コントのようなやり取りも上手だ。
 コメディのみならず、ロマンスやサスペンス、そして最後にはSF要素も盛り込み、86分とい尺の中で、エンタメ要素が多分に込められている。
 タイムループに直面すると、人ってこうなるのだなぁと、人間の愚かさも見せつつ、ツボを心得た軽妙な展開によって、十分に楽しめる娯楽作に仕上がっている。
 冬の貴船の美しさも相まって、まるで「ふじや」にいるような没入感も得られる佳作だった。CGやVFXに頼らなくとも魅せられる、新感覚のSF作品でもあったように思う。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://www.europe-kikaku.com/river/
<ヨーロッパ企画公式X>https://twitter.com/river_europe
<ヨーロッパ企画公式Instagram>https://www.instagram.com/river_europe/
<監督>山口淳太
<原案・脚本>上田誠
<プロデューサー>大槻貴宏
<撮影>川越一成
<照明>徳永恭弘、藤川達也
<録音>平川鼓湖、倉貫雅矢
<美術>相馬直樹
<装飾>角田綾
<衣装>清川敦子
<ヘアメイク>松村妙子
<編集>山口淳太
<音楽>滝本晃司
<助監督>渡邉新之輔
<宣伝美術>三堀大介
<スチール>濱田英明
<主題歌>くるり「Smile」 https://www.quruli.net/discography/%E6%84%9B%E3%81%AE%E5%A4%AA%E9%99%BD-ep/
#リバー流れないでよ #映画 #上田誠 #山口淳太 #藤谷理子 #鳥越裕貴 #永野宗典 #角田貴志 #久保史緒里 #本上まなみ #近藤芳正 #酒井善史 #諏訪雅 #石田剛太 #中川晴樹 #土佐和成 #早織 #コメディ #貴船 #京都 #タイムループ #トリウッド #ヨーロッパ企画







nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画