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【映画レビュー】「劇場版 きのう何食べた?」(2021 日本) [映画]

【映画レビュー】「劇場版 きのう何食べた?」(2021 日本)
 同名のマンガを原作とし、ドラマで人気シリーズとなった作品を映画化。弁護士のシロさんこと筧史朗(西島秀俊)と、美容師のケンジこと矢吹賢二(内野聖陽)の同性カップルが偏見に直面しながら絆を深めていく。ドラマ版でも見せ場となった、シロさんの料理シーンも健在だ。
 誕生日のプレゼントにと、シロさんはケンジを京都旅行に連れて行く。シロさんと旅行が出来てケンジは大喜びだったが、同時に不安を覚えてる。シロさんに尋ねると、彼は謝りながら、同性愛を受け入れられない母親の久栄(梶芽衣子)から、正月にはケンジを連れてこないで欲しいと言われたと明かす。今回はその罪滅ぼしだったという。
 旅行から戻ると、小日向大策(山本耕史)から食材を貰ってほしいと連絡が入る。そして小日向と井上航(磯村勇斗)が大量の食材を持ち込んでくる。買い物仲間の富永佳代子(田中美佐子)も呼び出し、皆で食べる。
 そこで正月にはケンジを実家に連れて帰らないと話したシロさんに航が苦言を呈した事で、ケンジを拒否する実家には帰らないと決心する。
 一方、ケンジは職場の若い美容師に「言いたいことはきちんと言うべき、身近な人間ならなおさらだ」という言葉や、父親が亡くなったとの知らせで帰った先で、母親からの「その人はいつまで一緒にいてくれるの?」という言葉に惑わされる。
 年末になり、帰宅したシロさんは正月は実家には帰らないとケンジに告げる。「大切な人と正月を過ごしたい。寂しい思いをさせてごめん」とシロさんは謝る。ケンジは動揺しながらも喜ぶ。2人はその後、おせちを作り、正月を迎える。
 ケンジは髪の毛が薄くなったと指摘され、シロさんには内緒で通院する。シロさんは異変に気付き、ケンジが通院していることを知り、何かの病気なのかと不安がよぎる。
 そんな中、航が家出をしてしまいまう。小日向を落ち着かせるシロさんに、小日向は「僕らゲイはいつ離れ離れになるか分からない」と反論されてしまい、シロさんは自身の境遇と重ね合わせる。
 その後、航は見つかり、家に帰ると帰ってきたケンジが髪を切り金髪に変身していた。シロさんはケンジに「お前最近おかしいよ。まさか死ぬなんてことないよな?」と涙ながらに尋ねる。
 ケンジが答える。髪の毛が薄いと言われ、生活習慣を変えて通院していたこと、実家に帰ってこいと言われ、少し悩んでいたことを話す。誤解が解け、シロさんは「実家に戻るなら引っ越しも考えないといけないね」と語る。シロさんの言葉に喜ぶケンジは、シロさんの深い愛を再確認する。
 正月以外は頻繁に実家に帰っているシロさん。佳代子に生まれた孫の話や、シロさんは自分の家族を大事にしてといった話をする。
 シロさんはケンジと合流し、花見に向かう。ケンジは自分の両親をちゃんと最後まで面倒を見ると告げ、シロさんには自分の家族をちゃんと大事にして欲しいと願う。ケンジはシロさんにキスをしようとするが、いつものようにかわされてしまう。しかし、シロさんはケンジの手に自分の手を重ねる。「歳とったね」と互いに言い合い、幸せそうに笑うのだった。
 個人的に(原作マンガ、テレビドラマ版も含めて)、この作品は同性愛を描いた作品なのか、料理を描いた作品なのか、世界観が理解できない。この劇場版も淡々とした展開でメリハリがなく面白味に欠ける。2時間ドラマで十分だと思えるストーリーだ。
 ゲイにとって生き辛い世の中の偏見を随所に散りばめているが、本作の存在こそが、それを助長してはいないだろうか。そんな自己矛盾を含んだ作品だ。
 西島秀俊はまだしも、内野聖陽のオカマの演技には、違和感以上の気持ち悪さを感じてしまう。同性愛が悪いことだとは思わないし、誰にも迷惑をかけていないのであれば自由だと思う。しかし、実際、シロさんの母親の久栄から拒絶されているように、親子関係にまで影響を与えているのだ。自分も身内にゲイがいたら久栄と同じ考え方をするだろう。
 ところで、シロさんは弁護士として、殺人事件の弁護を担当し、一審敗訴の後、控訴していたが、その結末は描かれないまま物語が終わってしまう。脚本面にも粗が目立つ作品だった。
<評価>★☆☆☆☆
<公式サイト>https://kinounanitabeta-movie.jp/
<公式X>https://twitter.com/tx_nanitabe
<公式Instagram>https://www.instagram.com/movie_nanitabe/
<監督>中江和仁
<脚本>安達奈緒子
<チーフプロデューサー>阿部真士
<プロデューサー>佐藤敦、瀬戸麻理子、斎藤大輔
<企画監修>神田祐介
<撮影>柴崎幸三
<照明>赤羽剛
<録音>齋藤泰陽
<美術>井上心平
<装飾>櫻井啓介
<衣装>加藤みゆき
<スタイリスト>カワサキタカフミ
<ヘアメイク>市川温子、佐藤裕子、柴崎尚子
<フードスタイリスト>山崎慎也
<VFXスーパーバイザー>進威志
<音響効果>丹愛
<編集>鈴木真一
<音楽>澤田かおり
<助監督>サノキング
<スクリプター>松村陽子
<制作担当>櫻井紘史
<原作>よしながふみ「きのう何食べた?」(講談社) https://morning.kodansha.co.jp/c/nanitabe.html
<主題歌>スピッツ「大好物」 https://spitz-web.com/discography/digital-05/
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