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【映画レビュー】「映画ネメシス 黄金螺旋の謎」(2023 日本) [映画]

【映画レビュー】「映画ネメシス 黄金螺旋の謎」(2023 日本)
 横浜の探偵事務所「ネメシス」を舞台に、広瀬すずが演じる探偵助手の美神アンナ、櫻井翔が演じる天才を自称するポンコツ探偵風真尚希、江口洋介が演じる社長の栗田一秋が難事件を解決する人気ドラマを、新たな脚本を基に映画化したものが同作。
 物語の始まりは、ドラマの結末から2年後という設定。しかしながら、その頃、「ネメシス」は依頼数の減少による経営難に苦しみ、事務所もボロいビルの最上階の物置のような部屋に引っ越していた。
 そんなネメシスに、1000万円もの依頼が舞い込み、風真と栗田は舞い上がっていた。その内容は愛犬を誘拐された老人・榎戸(笹野高史)からのものだった。
 さっそく解決に取り掛かるアンナと風真、しかし、アンナの前に現れた「窓」と謎多き男(佐藤浩市)が現れると、時を同じくして、アンナは仲間を次々と殺されていくという悪夢にうなされるようになる。
 夢と現実のシーンが、何度も行ったり来たりする。さらにアンナが悪夢にうなされて飛び起きるシーンが何度もリピートされることで、見る側とすれば、なかなかストーリーに入っていけない点が気になる。それぞれのキャラクター設定に対する説明もなく、あくまでドラマ版を見ていた人向けに製作された映画という印象は拭えない。
 「伏線だらけの99分」という謳い文句だが、その伏線を回収するには99分では足りず、やや消化不良感も残る。
 それでも風真とアンナのブッ飛んだキャラクターは健在である上、奥平大兼が演じるAI開発者の姫川が事実上、事件を解決するキーマンとなっている。
 遺伝子研究者・立花始を父に持ち、ゲノム編集した受精卵から産まれ、さらにそのデータを“形見”としてペンダントの中に移し、託されたことから命を狙われ続ける運命のアンナ。
 追い打ちをかけるように、悪夢に悩むアンナの家を風真が訪ねると、強烈な電磁波が測定され、マンションの壁に仕込まれた機械から電磁波攻撃を受けていたことが明らかになる。同作で唯一、“探偵っぽい”シーンだ。
 その部屋は、家賃・敷金・礼金無料という破格の条件で入居していた部屋であり、金欠のアンナの足元を見る“罠”だったのだ。
 劇場版らしいカースタントなどのアクションシーンも同作の見どころの一つだが、一方で、夢と現実の場面変化が非常にわかりにくく、ドラマ版の登場人物に加え、新たな登場人物も加わっているため、それぞれのキャラクターやストーリーが渋滞してしまっており、その上、当初の“犬探し”がいつの間にか解決してしまっているなど、脚本の粗が目立つ。
 筆者は1年半ほど探偵事務所に内勤として勤めていた経験があるが、その経験からいえることは、実際の「探偵」という仕事は実に地味であり、根気が求められる、いわば“日陰的”な仕事だ。プロとして淡々と与えられた依頼に応える一方で、あまり自分のことを話したがらない人も多く、私生活が謎に包まれている人も多かった。勘やひらめきで問題を解決するなど、実際はあり得ないことだ。
 その視点でいえば、同作は「探偵事務所を舞台としたサスペンスコメディー」であり、決して「探偵映画」ではない、エンドロールにも探偵事務所から監修を受けた形跡はないし、そもそも、死者が出た時点で、その捜査権は、警察の捜査一課に移り、その過程をすっ飛ばして、勝手に捜査したり、犯人と思われる者のアジトに乗り込むなどの行為は、下手をすれば捜査妨害で逮捕ものだ。
 監督の入江悠、脚本の秦建日子など製作サイドが、どれほど探偵業界や探偵業法のことを勉強したのかは分からないが、探偵を本業としている人が見れば、苦笑いするしかないような稚拙な脚本といわざるを得ない。このような探偵など、存在するはずもないからだ。万が一あったとしても、たちまち公安委員会から営業停止命令か廃止命令を食らうだろう。
 探偵視点から見れば突っ込みどころ満載の脚本はさておき、これだけの豪華なキャストが集った上で製作された作品だ。注目されないはずはない。「探偵」という枠を大きく外れた、コメディーやアクションに振り切った作品ではあるが、主人公のアンナがストーリーを通じて、心が強くなり成長していく様は、まさに女優・広瀬すずの成長物語そのものにも見える。同作に限った話ではないが、広瀬すずの役者としての引き出しの多さに感服させられる一作だ。
<評価>★★☆☆☆
<公式サイト>https://wwws.warnerbros.co.jp/nemesis-movie/
<公式Twitter>https://twitter.com/nemesis_ntv_
<公式Instagram>https://www.instagram.com/nemesis_ntv_/
<監督>入江悠
<脚本>秦建日子
<企画>北島直明
<製作>沢桂一、高橋雅美、藤島ジュリーK.、高津英泰、下田淳行、藤本鈴子、出來由紀子
<エグゼクティブプロデューサー>飯沼伸之、田中宏史、三上絵里子
<プロデューサー>北島直明、星野秀樹
<ラインプロデューサー>及川義幸
<撮影>冨永健二
<照明>中村晋平
<録音>古谷正志
<美術>高橋努
<装飾>谷田祥紀
<VFXスーパーバイザー>赤羽智史
<VFXディレクター>長崎悠
<スタイリスト>前田勇弥
<ヘアメイク>金山貴成
<編集>佐藤崇
<音楽>横山克
<助監督>岸塚祐季
<キャスティング>緒方慶子
<スクリプター>柳沼由加里
<制作担当>壁井優太朗
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「映画 ネメシス 黄金螺旋の謎」オリジナル・サウンドトラック

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  • 出版社/メーカー: VAP
  • 発売日: 2023/03/29
  • メディア: MP3 ダウンロード






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