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【映画レビュー】「告白、あるいは完璧な弁護」(原題「자백」/英題「Confession」/2022 韓国) [映画]

【映画レビュー】「告白、あるいは完璧な弁護」(原題「자백」/英題「Confession」/2022 韓国)
 2016年公開のオリオル・パウロ監督によるスペイン映画「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」の韓国版リメイク作品。密室殺人の犯人とされた男と、敏腕女性弁護士が真相に迫る物語が描かれるサスペンススリラー作品だ。
 IT企業社長のユ・ミンホ(ソ・ジソブ)の不倫相手キム・セヒ(AFTERSCHOOL・ナナ)がホテルの一室で殺された。第一容疑者のミンホは潔白を主張し、一時釈放され、郊外の別荘に身を隠し、その別荘で、弁護を依頼した敏腕弁護士ヤン・シネ(キム・ユンジン)と会い、ともに事件の真相を追い始める。
 ミンホは、事件の2か月前に起きた交通事故がセヒの殺人に関係しているかもしれないと告白し、事件の再検証が始まる。しかし突如現れた目撃者の存在により、真相は思わぬ方向へと進んでいく。
 ミンホの告白では、既に別れていた不倫相手のセヒに、2人の関係をバラされたくなかったら、10億ウォンを用意しろと脅され、ホテルに向かったのだと語る。先にホテルにいたセヒを訪れると、彼女も同様の脅しを受けていたと言う。
 ホテルの一室で待っていても誰も現れず、パトカーの音が聞こえてきたため、2人は逃げようとするが、何者かに襲われ、ミンホは気を失う。目が覚めるとセヒが死んでおり、駆け付けた警察にミンホは逮捕されてしまう。
 ミンホの供述に対し、シネはホテルの部屋には内側から鍵がかかっており、窓も閉められ外に誰かが出た形跡もない、密室殺人を疑うシネに、ミンホは無実を訴える。初めからホテルの一室に真犯人がいたと言うのだ。
 シネに検察の情報が入る。それは、目撃者が見つかったということだ。しかし密室殺人であるこの事件には目撃者などいるはずはない。
 シネはある顔写真をミンホに見せる。それは行方不明になった息子を探しているという尋ね人探しのポスターだった。知らない人の写真ならじっくり見るはずだが、ミンホは目を逸らした、この人について知っているんですよねとヤン・シネは問い詰める。
 すると、この人になら全てを話しても構わないと言い、ミンホはと交通事故について話し始める。
 不倫相手のセヒと、この別荘でよく過ごしていたミンホは、その日もこの別荘で過ごし帰ろうとするところだった。その日はセヒが運転し、ミンホは監視カメラのない人気の少ない道が近道だとそこで右折するように告げる。
 さらにミンホは嘘をつく生活をやめ、別れたいと話していたとも言う。そこに突如、鹿が飛び出し慌てて避けようとし、そこに反対車線の車と衝突しそうになり、車は木に激突してしまいまう。
 慌てて様子を見に行くと、反対車線の車の運転手は死んでいた。ミンホは警察に電話しようとするが、セヒが2人でいるところを知られたらまずいと制止する。
 そこにトラック通りがかり、セヒは自分たちが事故を起こしたことにすると指示する。何とかその場をやり過ごした2人だが、セヒはミンホに死体を隠すように言い、自分はミンホの車で帰るから後で落ち合おうと告げる。
 ミンホは車を湖に沈め、セヒはエンジンがかからず困っているところを通りがかった男性に助けられる。家に行けば整備できると言う男に車を修理をしてもらったセヒはその家の写真を見て言葉を失う。
 そこに写っていた青年はまさに事故で亡くなった青年だったのだ。セヒを助けられたのは事故で亡くなった青年の両親だったのだ。
 セヒは動揺を悟られないように、その場を後にし、ミンホと合流する。しかし、青年の両親が車のナンバーを覚えていたことで、ミンホに疑いの目が向けられ、携帯の使用履歴から家に忘れて帰ったはずはないと思った両親は、セヒを探し始める。
 焦るセヒは死んだ青年の荷物から抜き取った通帳を使ってお金を引き出していたと見せかけるように操作してほしいとミンホに告げる。それによって青年は詐欺に関わり自ら失踪したと警察は判断する。
 ミンホの話を聞いたシネは1つのストーリーを話し始める。それは、警察は当てにならないと感じた青年の両親が自分たちでカタをつけようとミンホを脅しホテルに呼び出しセヒを殺害したというのだ。
 そして、ミンホに新聞に掲載された写真に映り込む女性を指差し、この女性を知っているかと訪ねると、ミンホは「これは青年の母親だ」と言う。
 その母親が働いているホテルなら、先に部屋に潜み、窓から抜け出し隣の部屋に移動することも可能だ。そして警察がホテルに入ってミンホを取り押さえている隙に窓の鍵を閉めてしまえば密室殺人が完成する。
 そして、事故のことについては全てセヒのせいにし、ミンホは同乗しておらずホテルではじめて事故について知ったということにするといいストーリーを提示する。
 ミンホはこの推測に反応を示し、それを見たシネは「でもあなたは私に嘘をついていますよね」と問い詰める。
 さらにセヒは事故の後遺症で、深刻な不安障害に陥っていたと診断書を見せる。しかしシネは「不安障害の人が通帳の操作などの計画をできるとは思えない、巻き込まれたのはセヒで、運転していたのもあなたなのでは?」と問うとミンホはその事実を認める。
 ミンホは、それでも弁護をしてくれるかとシネに問うが、シネは弁護を承諾し契約書にサインする。
 弁護人になったからには守秘義務があると念を押したミンホは1つ言い忘れたことがあると付け加える。
 それは事故の際、死んでいると思い、湖に車ごと埋めようとしたらトランクから物音がしたという。トランクを開けると青年にはまだ息があったというのだ。ミンホはそれでもそうするしかなかったと車の中にあったスパナで殴って殺したと告白する。その話を聞き、シネは動揺し涙を流す。
 落ち着いたシネは、セヒが全てやったことにするには青年が乗った車に彼女の痕跡を残す必要があると言い、細工をするためどこの湖に埋めたか教えて欲しいとミンホに携わる。
 ミンホは地図に印を記入し、シネは後はこちらで対応すると告げ、別荘を後にする。しかし、タイヤが雪にはまり動けなくなってしまう。
 そんな中、ミンホはふと書類を目にし、シネの署名が異なっていることに気付く。片方はハングルで、もう片方はアルファベットで記入されていたのだった。それを見て、さっきまでいたシネは偽物であると気づき、シネの乗る車の窓をノックする。「チェーンをした方がいい」といって別荘に引き戻されるシネ。ミンホはカマをかけて会長とはどこで知り合ったのかと言うと裁判でとシネは答える。
 「会長とは同郷だと聞いた」というミンホにシネはぎこちなく、そうだと答えるが、ミンホは会長は北朝鮮出身だったことを知っており、お前は何者だと問い詰める。
 ついに正体がバレたと観念したシネは青年の母親だと答える。
 ミンホはそれならば合点がいくといい、シネの様子がおかしいと感じ、車を沈めた場所について、噓をついてたのだ。
 シネは息子は何もしていない、ただ息子の居場所がわかればいいと言うが、ミンホは答えず自ら警察に殺されそうだと通報する。その直後、銃で脅したシネに対し自分の肩に銃を当て、シネの手を取り引き金を引く。自ら被害者になることで助かろうとしたのだ。
 そこに本物のヤン・シネがやってきて、ミンホに不法に録音したものは証拠にならない、裁判で負けることはないと言う。救急車で運ばれたミンホは独り、ほくそ笑む。
 しかし、母親は本物のシネにあなたは必ず負けるから彼の弁護人を引き受けないでほしいと言い、どこに息子がいるかも分かったと言う。それはミンホの別荘の裏にある私有地の湖だった。別荘に飾られた写真を見て確信したのだと言う。
 証拠を隠蔽するためにミンホは釈放されてすぐここに来たのだ。警察が湖を調べると車が発見され、両親は、息子の居場所を知ることができたのだった。
 容疑者とされたIT企業の社長と弁護士のヒリヒリするような心理戦に、思わずのめり込んでいくような会話劇が繰り広げられていく本作。
 物語序盤は、ホテルの一室で何者かに襲われ、目が覚めると不倫相手が殺され外には警察がやってきていたという密室殺人の真相を明らかにしていくかのようなストーリー展開。
 しかし、次第に事件について明かされていくうちにミステリー要素からサスペンス色が強くなっていく。
 そして最後には、まさかのどんでん返しが用意されており、韓国特有の感情である「恨」の部分がより強調されているエンディングとなっている。
 “予測不能”というキャッチコピーに噓がないばかりか、このようなシナリオを誰が予想できようかというストーリーだ。リメイク作品とはいえ、韓国らしさも作中に散りばめられており、しっかりしたオリジナル作品に仕上がっている。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://synca.jp/kokuhakuaruiwa/
<監督・脚本>ユン・ジョンソク
<製作>キム・ジホン、ウォン・ドンヨン
<音楽>モグ
<撮影>キム・ソンジン
<編集>ホ・ソンミ、チョ・ハヌル
<原案>「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」(英題「The Invisible Guest」/2016 スペイン)
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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2023/12/08
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