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【映画レビュー】「雑魚どもよ、大志を抱け!」(2023 日本) [映画]

【映画レビュー】「雑魚どもよ、大志を抱け!」(2023 日本)
 相米慎二の弟子にして、現在、朝ドラ「ブギウギ」の脚本も担当している足立紳の小説「弱虫日記」を自ら映画化した本作。
 昭和末期のとある田舎町、主人公の高崎瞬(池川侑希弥)、瞬の親友でヤクザの父を持つ村瀬隆造(田代輝)、母が新興宗教にハマっている“トカゲ”こと戸梶元太(白石葵一)、イジメを受けながらも映画監督になる夢を持つ西野(岩田奏)、成績はいいが父はおらず母とヤンキーの姉と暮らす星正太郎(松藤史恩)らを軸に、複雑な家庭環境や学校でのイジメ、不良中学生からのカツアゲ、偏見に満ちた教師を含めた大人たちの理不尽な対応などに耐えながら、一日一日、懸命に生きる少年たちの姿をポップに描いている。
 ある日、弱虫な瞬はイジメを見て見ぬ振りしたことがきっかけで、仲間たちとの関係がギクシャクしてしまう。時を同じくして、母・佳子(臼田あさ美)の乳ガンが再発。瞬にとっては苦しい日々が訪れるが、仲間や家族、そして自分のため、瞬は人生で初めて本気で立ち向かっていく青春群像劇だ。
 令和の時代にはあり得ないほどの教師たちの横暴、少年たちの悪ガキぶりをリアルに描いており、どこか懐かしさを感じる。脚本もさることながら、少年たちの演技が素晴らしく、長回しの演出によって、よりリアリティー増している印象だ。それは、脇を固める永瀬正敏、臼田あさ美、浜野謙太といった一流キャストの存在感すらも霞ませるほどだ。
 不良グループとの決闘を経て、その相手と仲良くなる筋書きや、「男の子」から「少年」になっていき、ラストシーンの別れのシーンまで、ノスタルジックな甘酸っぱさを思い出させてくれる作品だ。
 足立紳と全く同学年である自分にとっては、“あの頃って、こんなんだったな~”と感じさせ、145分という長尺作品であることも忘れ、ホッコリとしながらも、感動もある傑作だった。
 決して、老若男女問わず刺さる作品ではないかもしれない。しかしながら、団塊ジュニア世代が“ガキ”だった頃に通ってきた道を描き、強く生きる少年たちが演じながら、同時に鑑賞者にメッセージを伝えているようでもあった。
<評価>★★★★☆
<公式サイト>https://zakodomoyo-movie.jp/
<公式X>https://twitter.com/zakodomoyomovie
<監督・原作>足立紳
<脚本>松本稔、足立紳
<製作>與田尚志、佐藤晃子、坂井正徳、狩野善則
<プロデューサー>佐藤現、坂井正徳、足立晃子
<共同プロデューサー>狩野善則
<音楽プロデューサー>津島玄一
<撮影>猪本雅三、新里勝也
<照明>山本浩資
<録音>臼井勝
<美術>高橋俊秋
<衣装>宮本茉莉
<ヘアメイク>大宅理絵
<特殊メイク・造形>飯田文江
<編集>堀善介
<音楽>海田庄吾
<助監督>倉大夏
<スクリプター>渡邉あゆみ
<スチール>内堀義之
<制作担当>柳澤真
<ラインプロデューサー>仙田麻子
<原作>足立紳「弱虫日記」(講談社) https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212732
<主題歌>インナージャーニー「少年」(鶴見river records) https://innerjourneytheband.wixsite.com/officialsite
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雑魚どもよ、大志を抱け! [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2023/09/13
  • メディア: Blu-ray






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