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【映画レビュー】「1秒先の彼」(2023 日本) [映画]

【映画レビュー】「1秒先の彼」(2023 日本)
 台湾映画「1秒先の彼女」(2020)を、監督・山下敦弘と脚本・宮藤官九郎でリメイクした作品。
 「1秒先の彼女」から男女のキャラクター設定を入れ替え、京都を舞台に、周囲よりワンテンポ早い男性・ハジメ(岡田将生)とワンテンポ遅い女性・レイカ(清原果耶)の“消えた1日”をめぐる物語を描いていく。
 大学受験に失敗し、コンプレックスを抱きながら郵便局の窓口で働くハジメは、何をするにも人よりワンテンポ早い。妹の舞(片山友希)やその彼氏ミツル(しみけん)にも、見た目は100点だが中身は0点と言われてしまうほどだ。
 ハジメの勤務先の郵便局に、わざわざ窓口で切手を買って手紙を出しに来る、根暗な女子大生のレイカが来るが、ハジメに気に留める素振りはない。
 ある日、ハジメはストリートミュージシャンの桜子(福室莉音)と出会い、恋をする。父親の病気の治療のため40万足りないと言った桜子のため、七夕の日に開催されるカップルコンテストに出場し、賞金を獲得しようと考える。そして当日、朝起きたハジメはバスに乗る。賞金を獲得出来なかったときのために40万円を用意していたが、金が入った封筒をスリが狙う。ふと目を覚ますと、日焼けした状態で布団の中にいました。どうやら周りは月曜日になっていて、ハジメの中で七夕の日である日曜日が抜けていたのだ。
 ハジメは昨日をなくしたと交番に駆け込む。その後、街の写真館でレイカと映っている見覚えのない写真を見つけ、不思議に思っていると、いつものように郵便局にやってきたレイカが日焼けしていることに気付く。
 写真館の主人に写真の場所を尋ねると、天橋立ではないかと話す。急いで天橋立にある郵便局に行き、私書箱を開けようとするが開きない。そして、家にある何の鍵か分からなかった鍵を使ってみたところ、私書箱が開く。中にはレイカからの手紙と写真がたくさん入っていた。ここでハジメはレイカの事を思い出します。
 レイカはハジメとは逆で何をするにも遅く行動してしまいう。そんなレイカのハジメとの出会いは両親が起こした交通事故で、レイカが重傷を負い入院した病院だった。隣の病室にいたハジメはレイカを励ましてくれたのだ。
 そしてレイカが退院の日、ハジメとレイカは私書箱で文通をしようと約束する。両親を亡くしたレイカは天橋立のある親戚の所に引き取られ、その後、約束は果たされることはなかった。大人になり、偶然にもハジメを見かけたレイカは、ハジメが働いている郵便局から私書箱宛に手紙を出し始める。
 当然、ハジメはレイカを覚えていなかった。レイカはハジメと恋仲となった桜子が、実は美人局であることを知り、ハジメもその標的だったことを知る。カップルコンテストの話をした日もレイカは2人をこっそりつけて、話を聞いていた。そして2人が別れたあと、桜子に文句を言うが、逆に川に突き落とされてしまう。
 翌朝、大学の屋上で寝ていたレイカが目を覚ますと、不思議な現象に気付く。レイカ以外の時間が止まっていたのだ。唯一動いていたバスの運転手ミクルベ(荒川良々)が運転するバスの中で、止まっているハジメを見つけ、ミクルベにお願いして天橋立まで連れて行ってもらう。
 そして天橋立で止まっているハジメと写真を撮ったり、楽しい時間を過ごす。帰りのバスの中、後部座席からクシャミが聞こえました。そこには止まっている振りをしていたハジメの父親だった。ハジメの父親は、みょうがを買ってくると言ったきり行方不明となっていた。
 バスはハジメの実家に向かい、ハジメの父親は止まっているハジメの母親にみょうがを握らせる。レイカはハジメと両親の写真を撮ってあげて、去り際に、ハジメの父親はハジメにパピコを買って帰る約束を思い出し、それをレイカに託す。
 ハジメを家に連れて帰ったレイカは、ハジメを布団に寝かせてキスをしようとするが思いとどまる。バスの中でスリに遭っていた40万円をレンジの中に入れて去っていく。翌日、レイカは“日曜日”を盗まれたと騒ぐハジメがいる郵便局で、いつものように私書箱宛に封筒を出す。
 その後、レイカはパピコを買うのを思い出し、立ち止まった時に突っ込んできたトラックに轢かれてしまう。
 それから363日が過ぎ、レイカのことを思い出していたハジメは、どうにかしてレイカに会おうと天橋立の郵便局に異動していた。そこに、ようやく松葉杖をついたレイカがパピコを持って現れる。泣きそうなハジメはレイカに「なんで?」と告げるのだった。
 原作の「1秒先の彼女」の主人公2人と比べ、岡田将生と清原果耶では“華があり過ぎる”キャスティングと思いきや、岡田将生はしっかりと三枚目を演じていたし、清原果耶は“陰キャ”な女子大生という珍しい役柄を好演していた。また、周囲の時間が止まり狼狽えるバスの運転手・ミクルベ役の荒川良々と、ハジメの父役の加藤雅也も良い味を出していた。
 さらに、舞台設定を東京ではなく、景観が綺麗で、自然豊かな天橋立もある京都にしたのも、良いチョイスだった。京都弁で進むストーリーは、テンポの良さも生んでいたように感じる。
 原作のファンタジーさを残しながらも男女を逆にした設定によって、マイルドさが増し、お笑いパートが多めになった印象だ。クドカンが脚本ならば、もっと面白く出来そうでもあるが、そこは出しゃばり過ぎずに原作を尊重し、ブラックさも交えながら、“らしさ”を加えた軽妙な作品に仕上げていた。
<評価>★★★☆☆
<公式サイト>https://www.bitters.co.jp/ichi-kare/#
<公式X>https://twitter.com/ichikare_movie
<公式Instagram>https://www.instagram.com/ichikare_movie/
<公式Facebook>https://www.facebook.com/IchikareMovie/
<公式TikTok>https://www.tiktok.com/@ichikare_movie
<監督>山下敦弘
<脚本>宮藤官九郎
<プロデューサー>根岸洋之、定井勇二
<ラインプロデューサー>植野亮
<撮影>鎌苅洋一
<照明>永田ひでのり
<美術>松尾文子
<装飾>中込秀志
<録音>小宮元
<衣装>江口久美子
<ヘアメイク>酒井啓介
<音響効果>廣中桃李
<編集>佐藤崇
<音楽>関口シンゴ
<助監督>長尾楽
<制作担当>坂口智久
<主題歌>幾田りら「P.S.」(SONY MUSIC) https://www.youtube.com/watch?v=uQEsu8tDT60
<原作>チェン・ユーシュン「1秒先の彼女」 https://www.bitters.co.jp/ichi-kano/
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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2023/12/22
  • メディア: Blu-ray






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